■三鷹市役所(東京都)

 

大学観光とは全く関係がありませんが、三鷹市役所特集です。

 

 

杏林大学観光の回で、「三鷹市役所は老朽化と耐震問題で、取り壊される予定」と書きましたが、間違いらしい。

 

取り壊し反対派の市長が最近、誕生していたそうです。

 

というわけで(どういうわけで?)、三鷹市役所を紹介させていただきたい。

 

県庁や市役所っていうのも、大学ほどではありませんが、ある程度まとまった規模と数の建物がそれなりの広さの敷地に配置され、中庭やベンチもある。

 

小規模大学程度の観光活動が楽しめます。

 

かつ、平日だったら遠慮なく建物の中にも入れるし、食堂とかも利用できる。

 

さて三鷹市所、交通はJR三鷹や武蔵境や調布とか、その辺の駅からバス。

 

典型的な地方自治体庁舎の作りで、わかりやすくモダニズムな秀作+うまくまとまった中庭という構成だ。

 

石本建築設計事務所の設計で1965年に落成。敷地面積は2万6千平米。

 

とにかく印象的なのが、ピロティ下の柱。耐震補強のためにパネルが後付けされたのだが、これで単なるピロティが、現代風意匠のアーチ廊下に見えてしまう。

 

 

そう見えるんですよ、僕の目には。

 

この建物、打ちっ放しコンクリートに山吹色の窓サッシが取り付けてあって、日の光を受けてゴールドに輝いて見える。

 

ピロティ上に横並びするゴールドのサッシ。結構、えぐいインパクト。

 

そのえぐさと、ピロティ耐震アーチ廊下の激烈な存在感が、上下でバランス良く釣り合って、本当にかっこいいんですよ。

 

どちらかが欠けていたら、片方が悪目立ちしてしまうと思う。

 

建物自体は、よく言って、こぎれいにまとめた優等生、というところかも。でも、耐震アーチのおかげでドラドラ載って跳ね満で、って感じ。

 

まあ、元に戻って順繰りに観光します。

 

まず道を歩いて行くと、お役所の入口が見える。

 

 

 

 

さらに進むと、議会棟がピロティーで持ち上げられていて、そこを抜けると芝生の中庭。その向こうに女性と子供の像。

 

 

 

 

右手には低層市民ホール、左手に5階建ての行政棟。奥には後に建てた第2行政棟もある。

 

 

 

ちょっと面白いのは、中庭の先。

 

地下に掘り下げられた第2中庭がある。そこに面して、第1中庭の直下に位置する場所に地下食堂がしつらえてある。

 

ここでオープンカフェを気取ってご飯でも食べれば、大層いい感じです。

 

 

さて、こちらを設計した石本建築設計事務所は、日本のモダニズム建築の先駆け、大正時代は分離派運動の中心人物の一人、石本喜久治が開いた組織設計事務所だ。

 

先代の朝日新聞社屋などを設計した。

 

ただし、三鷹市役所は65年落成で、石本氏本人は63年死去だから、ここの設計には関わっていないだろう。

 

さてこの市役所、今後どうなるのか。市長が建て替え反対派に替わったとは言え、老朽化と耐震補強の問題は変わっていないし。

 

取り壊しといえば、前川国男設計の世田谷区庁舎も取り壊しが決定した。

 

国士舘大を見に行ったついでにちょろっと紹介したが、こちらも番外編でご紹介させていただきたい。

 

なお、敷地北側、公道を挟んで教育委員会棟もある。