■大阪商業大学(私立・大阪府東大阪市)
旧制の大阪城東商業学校が戦後、大阪城東大学に昇格し、1952年に大阪商大に改称した。
創業者の名前を冠した谷岡記念館が有名だ。
すごいA級建築というわけではないのだが、ちょっと気張った普段着、そんな感じで悪くない。
大阪難波駅から近鉄線に乗って7つ目。
河内小阪駅から5分も北に歩けば、「ユニバーシティ・コモンズ リアクト」が見えてくる。
メインキャンパスからは少し離れて位置する、最新鋭の別館だ。
谷岡記念館のレトロモダンを現代風に混ぜこんだ、という感じ。
ここで右折して、本キャンパスへ。
まずは谷岡記念館。
説明パネルによると1935年の落成で、設計は「早稲田大学の清水先生と、福田兵次郎氏」とある。
現在は商業博物館として、一般開放されている。
そのほかにも、70年代風?の微妙にイイ感じの校舎がならぶ。本館のタイルも良い照り返し具合だ。
しかし、名前は超現代風であったりもする。
たとえばコンビニや学生用スペースが入るこちらは「re/ra/ku」。名は体を表さない。
さて、再びなんばに引き返して、駅前を少し歩く。
まずはホテルロイヤルクラシック大阪。
大阪の新歌舞伎座を隈研吾が復元再開発したものだ。
隈研吾というと東京の歌舞伎座のことばっかり言われるが、大阪の方が出来がいいと思う。
東京の歌舞伎座は、岡田・吉田の歌舞伎座をそのまま復元して、後ろに、可能な限り目立たないようにした高層ビルを添えた。
大阪は、村野藤吾の快作(怪作)である新歌舞伎座を復元して、白い高層の箱を乗せる。高層部分はぎりぎりまでせり出し、旧歌舞伎座部分が窮屈に思える。
写真で見ると、どうかなあ、とか思ったが、現物を見たら印象が違った。
逆説的ながら、旧歌舞伎座部分が、すごい存在感を感じさせる。
歌舞伎座の部分は、単なる装飾の帯ではない。むしろ、白い高層ビルを内側から食い破って出てこようとしている怪獣のように見えた。
ついでながら、なんば駅から見上げると、広場の女神像?から千鳥破風、ビルてっぺんのミニ破風へとリズミカルに、心斎橋方面の空に視線がはねていって、わくわく感もある。
なんば駅自体もいい。建物も、モザイクも。