■上智大学・四谷キャンパス(私立・千代田区紀尾井町)
宗教系大学はだいたいの場合、校舎に力を入れていると言えると思う。
この大学も、その証拠の一つだと思う。
JR四谷駅からすぐ。
最初に目に入るのが、キャンパスのゲート代わりになっているともいえる、高層ビルの7号館だ。
チェコ系米国人建築家の、アントニン・レーモンドによる設計。
米国のカリスマ建築家、フランク・ロイド・ライトの弟子(?)だった。
が、独立して自分の個性を模索するうちに、気が付いたらフランスのカリスマ建築家、ル・コルビュジェ(っぽい)路線に転向してしまった。
1969年落成。表から見ると、上智大学のロゴも神々しい。
その横にそびえたつのが、2号館。
こちらは更に高層で、デザインから施工まですべて、大手ゼネコンの竹中工務店製だ。
奥にある10号館は、日建設計謹製。
日建設計は、設計会社の大手だ。設計から施工まですべて引き受けるゼネコンと違い、実際の工事は行わない。
元々は住友財閥の建物設計部門で、戦後の財閥解体で独立して、今の形になった。
全てにおいて白いハコだが、単なる白ハコでは無く、とても美しく品位のある建物に仕上がっている。
きっと神父様が「良いのを作らんと地獄行きだ」と、設計者に発破をかけたに違いない。
最近出来たソフィアタワーも、日建の設計だ。
キャンパス内で一番古い建物は、クルトゥルハイム聖堂。1912年落成。
その次に古いのが1号館。
1号館なのに一番古くないのはなぜ?と思うだろうけれど、実はこの1号館、2代目・1号館なのだ。
関東大震災後で倒壊した旧1号館の跡地に1932年、落成した。
こちらは、日本のミッション系建築物を多数手がけたスイス人建築家、マックス・ヒンデルの設計だ。
神田カトリック教会や、クッキーのお土産で有名な北海道・トラピスチヌ修道院などを設計したそうだ。
さて新・1号館だが、鉄筋コンクリ造にタイル張りを施したもの。
色違いのタイルやテラコッタ(特注立体タイル)の組み合わせが美しい。
そのほか、キャンパス内の要所にちりばめられた装飾やベンチなど、細部にわたって気を使っている感があふれている。
4万7000平米に約1万4000人の学生を収容するため、高層校舎が天空へ向かって林立するこのキャンパス。
まさに現代のゴチック聖堂だ。
Gloria in excelsis Deo
上智と言えば外せないイグナチオ教会はキャンパスに含まれないらしい。
ということで、ここでは取り上げないが、機会があれば、内部も見ておく価値はある。素敵なところです。
ついでながら、こちらが先ほど名前を出した、マックス・ヒンデル設計の神田カトリック教会。
さらにおまけ。
キャンパスの裏手に回ってみる。
その先には、これまた有名な麹町ダイビル。
村野藤吾の設計だ。
某ふわふわパジャマ店?が一棟借りしているオフィスビルなので、中に入ることはできないが、外観だけでも、ぜひ。
僕は仕事で入ったことがあるけれど、いやあ、イイね!って感じ。