■国学院大学・渋谷キャンパス(私立・渋谷区東)

 

日建設計によるキャンパス再開発が行われ、最近のイケてる風建築の巣窟となっている。

 

担当は社内建築家の富樫亮と朝田志郎。

 

富樫亮は芝のNEC本社などをデザインした。

 

まあ、「國學院」という字面から想起される国風文化的なものは、あまり残っていない。

 

 

繰り返すが、純和風で歴史感たっぷりの名前に反して、近代的でぴかぴかな洋風キャンパスだ。

 

もちろん行ってみて、くつろいでみる価値は十分にある。

 

渋谷と恵比寿の中間あたりから広尾方面に坂を登ればすぐ、シンボル的な18階建て高層ビル「若木タワー」が見えてくる。

 

さらに進めば正門だ。

 

道を挟んだ向かいの敷地には、別館的な扱いの学術メディアセンター。博物館や図書館が入っている。

 

 

さて本キャンパス、学生数8000弱に対して面積は2万5000平米。狭い敷地に高層建築がびっしりと密集しているのだが、なかなか立派だ。

 

かなり経済力のある大学なのだろうか。

 

 

正門から入ってアーケードの通りの向こうに130周年記念5号館が見える。

 

 

 

ピロティになっているが、床と階段は緩やかに下っていく。その先は半地下の広場が吹き抜けにしつらえてある。

 

 

公道に面した塀のない開放型キャンパスなので、ベンチとテーブルが大量に用意された広場は、学生以外とおぼしき利用者もちらほら。

 

場所を変える。広尾側の裏手に回って若木タワーを見上げると、これまた威容である。

 

 

逆に、坂下側に回ってタワーを見上げるのもいい。

 

 

こちら側には6号館もある。

 

大学当局が「おしゃれな建築物を頼むよ!」と発注したことは間違いないであろう、曲線とガラスを駆使したできばえ。

 

大学と言うより、最新の文化系公共建築みたいだ。

 

 

ついでながらそばには、国学院とは関係ないが、塙保己一資料館・温故学会会館がある。

 

1927年完成のレトロな鉄筋コンクリート二階建。正面から見て鳳凰が両翼を広げたような形にデザインしたという。

 

 

そんな国学院大学は、1882年に神主さん養成所として明治政府によって作られた皇典講究所がルーツだ。

 

 

1920年に旧制私立大学に昇格し、1923年に皇室御料地だった現キャンパスに移転。戦後に新制大学となった。

 

源流をたどると保守的そうだが、1946年に早くも男女共学化と先進的。学生自治会も左翼でならしたそうだ。

 

そんなこんなで2002年から創立120周年を記念してキャンパス再開発が始まり、現在の姿になった。

 

あえて昔のよすがを感じさせるのは、正門脇の「神殿」か。

 

神社ではない。神殿だ。

 

 

普通の神社と違い、特定の神様をまつったものではない。

 

文字通り、八百万の神を祭った、神道界のICUみたいなものらしい。

 

そしてその役割は、神主資格を取得するための実習施設だという。

 

本当かどうかは知らないが。

 

ウサギさんに見送られて、キャンパスを後にする。