麻布大学(私立・神奈川県相模原市) 

 

(写真と文章を全面的に入れ替えました) 

 

気持ちのいい公園、じゃなくて、キャンパスだ。 

 

 

町田乗り換えでJR横浜線の矢部駅。新宿から約1時間。それなりにピクニック気分。 

 

 

何とも郊外感を漂わせた駅のそばにキャンパスはある。 

 

正門を入るといきなり左手に馬場。さすが獣医養成大学。 

 

 

ちょうど馬術部が練習していた。てくてく歩く馬に癒やされる。 

 

 

 

右手にはメーンストリートが一直線。 

 

 

年季の入ったイチョウ並木に伴われ、左側にはベンチの列、右向こうにはグラウンド。野球部が練習している。金属バットの音。 

 

 

さらに進むと交差点。その向こうには広々とした広場とベンチ。ドッグランもある。 

 

 

癒やされる。 

 

さらに向こうには素敵な建物が見えるが、これは大学とは関係のないマンションだ。見て楽しむ。 

 

広場の左右は獣医学部と生命・環境科学部の二大校舎が固めている。 

 

 

 

学生数2600人。キャンパス面積は11万平米。なかなかの広さだ。 

 

広場もベンチも学食もなかなかだし動物がいる(ときもある)し、大学博物館「いのちの博物館」もあるし、なかなかなところではないだろうか。 

 

とまあキャンパス散歩はこんなところにしておいて、大学の歴史を振り返ってみたい。 

 

前身となる東京獣医講習所は明治23年創立。かなりの歴史を持つ伝統校だ。 

 

創立者の與倉東は東京農林学校(現・東大農学部)の教授だったが、三田にあった農林学校が駒場に移転することになった際、「交通が不便で通えない」という学生たちの要望に応え、三田と駒場の中間地点?の広尾(麻布)に獣医学校と附属病院を建てた。

 

 

そう、昔は中央線も井の頭線も山手線も東京メトロも何もなかった。

 

駒場はウルトラへき地で、周りにだれも住んでいないから工場とか農園とか畜舎とかバンバン立てちゃえ、という扱いだったのだ。 

 

 

広尾だって江戸時代は「狸が出る原っぱ」ではあったのだが、ギリギリで「江戸の市街地」からの徒歩通学圏内だったのだ。

 

そしてその広尾、明治後期に入ると外国大使館が立ち並ぶシャレオツ住宅地として開発され始めた。 

 

 

その結果、どうなったか。 

 

明治27年(1894年)に麻布獣医学校と改名していた獣医講習所。その附属病院は各国の外交官夫人や令嬢、そして皇族に華族がペットの犬や猫の健康診断にやってくるシャレオツスポットになっていたのだ。 

 

 

「麻布へ犬猫の治療に連れていく」「待合室で飼い主同士、社交トークを楽しむ」ことがセレブのたしなみとなったのでありました。 

 

戦前の獣医は、基本的に富国強兵。農村を支える牛や軍隊に不可欠な馬を治療する獣医の養成が獣医学校のメーンの任務だったのですが、麻布獣医学校だけは全く校風が異なり、「犬猫の医者になるなら麻布」と称され、東京近辺のペットの医者は9割がた麻布出身。

 

 

そんな時代が訪れたのでありました。 

 

なのですが、第二次世界大戦で校舎が全壊し、戦後の1947年に港区麻布から現キャンパスに移転、再建を目指すことに。 

 

というわけで、現キャンパスにセレブでレトロな由緒正しい建物が残っていないのはいささか残念なところだ。 

 

というわけなので、淵野辺なのに「麻布」とはこれいかに?などと突っ込んではいけない。歩いて20分ぐらいのところには淵野辺なのに「青山」学院大学の相模原キャンパスもあるんだし。 

 

あと個人的には、正門手前にある県青少年学習センターの建物が気に入った。 桜美林大の学生が描いた壁画もある。

 

 

  交通メモ 

 

麻布大学(私立) 

 

住所: 神奈川県相模原市中央区淵野辺

 

新宿駅から小田急線で町田へ。JR横浜線に乗り換え矢部駅下車、徒歩3分。全部で1時間弱。桜美林大と青山学院大が(そこそこ)そばにある。ご一緒にどうぞ。