■東京農工大学・府中キャンパス(国立・東京都府中市)

東京農工大は小金井・府中の両キャンパスともに、散歩・観光スポットとしてレベルが高い。

 

まずは公式ホームページの指示通り、JR武蔵野線の北府中駅で降りて、東へ進む。

 

まさに郊外の住宅街。団地の敷地に沿って歩く。と思ったら府中刑務所だった。刑務官の官舎なのだろうか。

 

しばらくして左折し、駅から十数分歩いたころ、正門に到着する。

 

 

風格のあるケヤキ並木。その先に見える立派な時計台の校舎。

 

ザ・大学、だ。

 

 

時計台の校舎、すなわち本館は、白塗り壁にスクラッチタイルが飾り付けられた建物。

 

 

アールデコなのか、ネオゴチックなのか、どうしたいのかよく分からないが、脇の解説板を見ると、「内田祥三による設計」と書かれていた。

 

東大の主要校舎や安田講堂の設計者として知られる、内田祥三。

 

なるほど。

 

ただ、全面スクラッチタイルの東大校舎より、こちらの方が瀟洒なのに風格があって、しかも明るい感じがする。

 

裏側に回ると、中廊下のあたりにでる。

 

 

入り口回りも、こじゃれた感じ。

 

 

 

ここで撮った写真を見せながら、「週末は弾丸ツアーでヨーロッパまでちょっと行ってきたよ」と自慢しても、そこそこ疑われないかもしれない(そうでもない)。

 

 

東京農工大は1949年、旧制東京農林専門学校(府中)と同・東京繊維専門学校(武蔵小金井)が合併して誕生した新制大学だ。

 

旧制の専門学校は、今でいう大学のこと。

 

 

昔は、農業が国内産業の大きなウェートを占め、かつ繊維・紡織産業が輸出企業のチャンピオンだった。

 

つまり、日本経済を支えるエンジニア養成機関だったということだ。

 

 

ちなみに東京農林専門学校は、東大(帝大)農学部の専門技術者養成コースみたいなところが分離独立した学校だ。

 

繊維専門学校は、内務省系の産業振興機関が源流。今でいえば、経産省系列の研究所みたいなものか。

 

 

それはともかく合併した今も、工学部が小金井キャンパス、農学部が府中キャンパスときれいに分かれているので、実は全然合併していない。

 

仮面結婚なのかと勘ぐってしまう。

 

 

キャンパス面積はざっくり見て、学生数2000人に対して30万平米弱とかなり広いが、半分近くは農場や牧畜舎となっているので、人間の居住エリアは意外にコンパクトだ。

 

さて、本館の先には、池のある庭園。これまで学生がたくさん転落したのか、柵で囲われている。

 

 

謎の彫像。

 

 

農工大は、小金井キャンパスにも謎オブジェがあった。そういうのが好きなんだろうか。

 

武蔵野の雑木林、的な雰囲気が漂う中庭。

 

 

生協。

 

 

図書館は、高さを抑えて横に広げたスタイル。好みだ。

 

 

写真にはちょろっとだけしか写っていないが、屋根は折板構造になっている。少しユニーク。

 

 

典型的な戦後レトロな校舎建築である、1号館も悪くない。

 

 

本館との整合性を意識した色遣いになっている。

 

理工系の大学に欠かせないのが、ダクトなど配管の壁面処理。

 

 

いわゆる工場好きの人なら、その美しさが分かっていただけるのではないだろうか。

 

タイル張りの壁面にパイプ、そして金属格子の覆い、というレトロモダンでフューチャーなところがたまらない。

 

その先に進むと、広大な実習農場がある。

 

 

林立する小型温室がかっこいい。

 

 

東門に向かうと動物病院がある。新館もいいが、裏に回って旧館(家畜病院)を探すのがお勧め。

 

年季が入り、程よく艶の失われたタイルが渋い表情を見せている。

 

 

最後は実験動物の慰霊碑に手を合わせて、帰途に就く。

 

キャンパスは(農場エリアが)そこそこ広いので、一通り回っただけでも結構疲れる。

 

 

正門そばからJR国分寺駅行、または府中駅行のバスが出ているので、そちらで帰ることにする。

 

というか、そっちがメインのアクセスルートだろう。

 

 

小金井キャンパスもなかなかお勧め。どうぞ!

 

 

 

  交通メモ

 

東京農工大学・府中キャンパス

 

場所: 東京都府中市見晴町

 

JR新宿駅から中央線で約30分。国分寺駅で下車。バスで約20分、徒歩なら30〜40分でキャンパスに到着。国分寺駅北には東京学芸大があるので、ついでに見てもいいし、逆に、キャンパスからJR府中駅(約30分)まで散歩するのもありだ。