東京学芸大学(国立・東京都小金井市)

 

市民公園として見れば、非の打ち所はない。

 

僕が近所の住民だったら、休日の昼ご飯はキャンパスの生協で食べ、ぶらぶら散歩をしたり木陰のベンチで本を読んだりしながら午後を過ごす。

 

かもしれない。

 

 

中央線武蔵小金井駅からバスで十数分。歩いて行こうと思える距離ではないけれど、バスの本数は多いので、心配する必要はない。

 

バスを降りて、アプローチの直線道路をちょっと歩くと、すぐに正門だ。

 

キャンパスは機能別に、きれいに区分けされている。

 

東半分は付属小中学校と、体育館やグラウンドなどの「その他部門」。中央部には事務棟や生協、図書館などが集まる。

 

西半分が、いわゆる「大学校舎エリア」だ。

 

 

 

正門を入ると、目の前には巨大な並木に囲まれた、広大なウッドデッキの広場が広がる。

 

ズドンと広がる、という表現が、驚くほどぴったりだ。デッキのほぼ全域が木陰に覆われており、風を感じることができるだけの広さがある。

 

見た感じ、間違いなく、近所の住民の憩いの場になっているようだ。

 

 

デッキ右手には事務棟と図書館がある。事務棟はタイル張りで味のある戦後派建築だが、耐震補強の骨組みに覆われ、いささか気の毒なありさまだ。

 

 

図書館は正面から見ると、現代風の小じゃれた顔つきだが、横に回ると昭和レトロな雰囲気も漂わせている。

 

 

 

その先に進むと、キャンパスのシンボル、時計塔だ。

 

戦後に4つの師範大学が統合して誕生し、1964年に現キャンパスに移転してきたこの大学、とにかく戦後派な設計だ。

 

5000人が通う30万平米のキャンパス。縦横にズドンと、直線の野太い通りが貫通する。脇を固める並木は年月を経て、十分な太さ。

 

木陰に覆われた大通りは、散歩のためにあるような物だ。

 

おそらく、事務棟や図書館、生協など年季の入った建物は、移転当初からのものだろう。

 

一方でキャンパス東側の校舎群のほとんどは見た感じ90~00年代にまとめて建て替えられた様な気がする。

 

味が出てきた、というにはまだまだ若すぎる建物だけれども、それでも数は多いので、うろうろ歩くと面白い表情に出くわす。

 

理系校舎の中庭にある危険物管理所。

 

 

 

階段の空隙。

 

 

古株校舎の生き残りと見られる、芸術・スポーツ1号館。

 

 

どう見ても信金か地銀の支店としか思えない校舎もあった。とても気になる。

 

 

自然は豊富なのだが、管理予算は決して豊富とはいえない様子で、自然に返りつつある、といった方がいいような気もする。

 

まあこれは、国立大学すべてに共通することで、東大駒場キャンパスなんて、廃虚かと思ってしまったこともある。

 

 

同窓会館は、少し個性的なコンクリ2階建て。その前には日本庭園もあるのだが、もはや庭園とは言いがた、たたずまいだ。

 

 

生協は普通。大学グッズはほとんどない。

 

キャンパスをうろうろしているうちに思いあたった。

 

ここに感じたデジャビュの正体。あれだ。ここはあれ、練馬の光が丘公園、あそこと同じ空気を感じる。(あくまで個人の感想です)