■埼玉大学(国立・さいたま市桜区)
ここの図書館は、僕の心の殿堂入りだ。キャンパス全体としても散歩コースとしても、レベルは高し。
2回、3回と行っても飽きない。
目立つ派手さはないが、地味に愛されキャラのキャンパスだ(個人の感想です)。
さて、これがその図書館。
実物は写真より、もうすこし藤色っぽいのだが、見れば見るほど埼玉らしさを感じさせられる。
僕はさいたま市内に住んでいたことがあるのだが、この図書館、まさに「ザ・埼玉」とでもいうべきデザインなのだ。
その根拠は不明ながらも、とにかく「埼玉らしさ」を感じさせてくれる。
その理由をずっと考えていたのだが、最近、ふと思いついた。
あれだよ、コバトン。
埼玉県の公式ゆるキャラ「コバトン」と、カラーリングが(うっすらと)一緒なのだ。
こちらの大学、最寄りの駅はJR埼京線の南与野駅だが、京浜東北線で北浦和駅に出てからバスに乗るのもいいだろう。
どちらの駅にしても、都心とも郊外とも判断しがたい、微妙な風景が広がる。
北浦和からなら、バスに乗って15分弱。
そういえば、知り合いの埼大生(福島県出身)が言っていた。「浦和のあたりまでは東北のにおいがする。落ちつくんだ」。
学生街らしきものの存在を感じさせぬまま、バスはキャンパス内のロータリーへ到着する。
モニュメントが出迎えてくれる。
キャンパスの構造は単純だ。正門からメーンストリートが直進し、突き当りがグラウンド。
その途中、左右等間隔に枝道が分かれていく。
枝道に沿って、クリーム色のタイル張りやモルタル仕上げの研究棟や講義棟が立ち並ぶ。
基本は中低層。きれいな団地型構造だ。
この大学は旧制浦和高校、埼玉師範、埼玉青年師範の3校を母体にして、戦後1949年に発足した。
典型的な新制大学だ。
旧3校は、1964-69年にかけて現キャンパスへ逐次移転し、物理的にも統合を果たした。
一番の自慢はというと、OBの梶田隆章氏がノーベル物理学賞を取ったことだろうか。
建物的にはこう言っては何だが、ある意味、埼玉らしい。
「昔から」の建物はないし、かといって「最新型」もない。
だが、それがいい。
新しくはないが、廃墟ではない。
よく使いこまれ、今なお使われ続けている。
妙に長い渡り廊下。
ほどよく錆の浮かんだ温室。
緑豊かな散歩道。
散歩のし甲斐がある。
場所的に言って、武蔵野の雑木林というロケーションではないのだが、実に緑の濃いキャンパスだ。
校舎もグラウンドも緑に囲まれ、森を切り開いて作ったキャンパスであるかのように錯覚させる。
生協で手に入る大学グッズは、それなりに充実している。
ネクタイ、湯飲み、ノート、ペン類、マスキングテープにお菓子などもある。
生協横はテラス席やちょっとした広場。近所に住むと思われる、小さな子連れ家族もちらほらとみられる。
そうそう、経済学部の陶製看板は、ある意味、要注意。ちょっと面白いというか、奇妙というかなんというか、だ。
わかりにくい場所になるが、ぜひ探してみてみてほしいと思う。
キャンパスは26万平米。東京駅から1時間以内に位置する国立大としては、なかなかの規模ではないだろうか。学生数は8600人。
土地はゆとりを持って使われ、至る所に木々がうっそうと茂っている。
空き地やベンチも豊富に配置され、散策の途中に腰掛ける場所には困らないだろう。
土地に余裕があり、それなりの歴史もある国立大キャンパスの場合、なかなかの太さの木があること自体は珍しくはない。
しかしこちらは、とにかく数が多い。太いだけでなく、高い木も多い。
空が広いのか、狭いのか、分からなくなってきそうだ。
キャンパスから5分も歩けば、荒川河川敷に出る。川沿いをしばらく歩いてみるのも悪くない。
そばの桜区役所もなかなか面白い造形だ。中に入って内側からドーム天井を見上げてみるのもおすすめだ。
交通メモ
埼玉大学(国立)
場所: さいたま市桜区下大久保
JR上野駅から宇都宮線で20分、浦和駅で下車し、バスで25分。埼京線南与野駅から徒歩30分、という手もある。そばの桜区役所はドームがユニークで、一見の価値あり。そばの荒川河川敷をぶらぶら散歩するのも悪くない。