■立命館大学・衣笠キャンパス(私立・京都市北区)
建物のタイルに注目したい。
キャンパスには濃茶色のタイル張り校舎が建ち並ぶ。
大学、特に私大のキャンパスは、校舎の新設、増設、改築を繰り返し、結果として様々な様式と色彩が氾濫しがちだ。
立命館は統一感を保っている。
新しい校舎も古い校舎も、多くが同様のタイル張り意匠で作られている。
モノトーンとも言える。
ただ、それは遠目に見た場合だけだ。
近づくと、存外にカラフルなタイルの集合体だと気づくだろう。
水色、オレンジ、鶯色の釉薬がかけられたような、濃茶のタイル。
タイルの表情も独特だ。縦横に細かいスクラッチが入った作りだ。
校舎が違えば、タイルの経年変化の度合いも違う。
同じように見え、強い統一感を感じさせながらも、それぞれ全く別個の存在であることを感じさせる。
キャンパスの場所は、京都市街の北のはずれ。
ちんちん電車のような嵐電(京福電車)に揺られて訪れると良いだろう。龍安寺のすぐそばだ。
全学生数3万2000人のうち、ざっと1万3000人が通う、約13万平米のキャンパス。
密集度は高いが、それなりの面積の中に、ほどよく広場やベンチも配置されている。
なぜか墓地まであるので、いろいろと安心だ。
食堂も3か所。真新しい、ここだけは他と違って白い神殿のような作りの図書館には、タリーズもある。
大学グッズコーナーもなかなか充実している。
バッジやネクタイなどの定番品に加え、ミニサイズの屏風や重箱など、京都らしいといえば京都らしいグッズもある。持ち帰れば、話の種になるだろう。
一通り堪能したら大学を出て、再び嵐電の駅を目指す。マイルドな表現をすれば、年季の入った味わいのある住宅街の中を通る。
ふと気がつくと、周囲に学生の姿が見あたらない。住人の姿も見えない。廃屋手前のような民家が見える。そより、と吹く風を感じる。
京都は異界へ通じているというのは、案外、本当のことかもしれない。