東京海洋大学・品川キャンパス(国立・東京都港区港南)

 

(文書と写真を入れ替えました)

 

「海の男」を養成する大学だったが、現在のキャンパスには女性の姿も目立つ。

 

「うみんちゅ」を養成する大学だ、と言い換えておこう。

 

 

水産業界の専門技術者養成機関だった東京水産大と、商船の幹部船員を育成する東京商船大が2003年に統合して、現在の名前になった。

 

 

品川キャンパスは水産大の旧所在地で、現在もその流れをくむ水産系の学部が入っている。

 

最寄り駅は品川。港南口で降りるのは、本当に久しぶりだ。高層ビルが立ち並び、「港」を思わせるものは何もない。

 

とはいえ高浜運河まで歩けば、潮の香りが漂ってくる。運河沿いの遊歩道を見下ろしながら橋を渡れば、すぐにキャンパスだ。

 

 

学生数は2800人。面積は14万3000平米。

 

日比谷公園が16万1000平米というと、なかなかの広さだと伝わるだろうか。

 

正門を入ると、メーンストリートが南に向かって真っすぐに伸びる。両脇に建物が並び、外周路とグラウンドが周囲を囲む。

 

 

ある意味、鉄板のキャンパス設計だ。

 

メーンストリートを進むと、まずはロータリー。

 

そして事務棟。

 

 

庭園とあずまや。

 

 

さらに進むと、一般公開の鯨ギャラリーが見えてくる。中には鯨の骨格標本。とても大きい。

 

 

ギャラリーの対面は、講堂。昭和レトロなモダニズム、な感じだ。

 

 

その先には、写真映えという意味ではキャンパス随一、図書館とマリンサイエンスミュージアムがある。

 

 

寄り道しても良いし、そのまま直進してもいい。

 

 

ミュージアムも一般公開されている。

 

 

さらに進めば、生協と日陰のベンチが見えてくる。

 

 

生協食堂も学外者に公開されているが、「昼休みの利用はご遠慮を。学生と教職員が優先です」と、遠慮がちな張り紙。

 

食堂のメニューは定番品が中心だが、生協の大学グッズコーナーは充実している。

 

日本でもトップクラスといって良いのではないか。

 

バンダナ、Tシャツ、サンダルに魚モチーフのタイピン各種。

 

水兵の手旗信号をイラストにした、手作り感がかわいい絵はがきもある。

 

 

元に戻って、メーンストリートをさらに奥へ。

 

 

いわゆる歴史的建造物や、はたまたウルトラモダンなおしゃれ校舎は見あたらない。

 

 

微妙に古びて新しい、団地的な建物が続く。

 

 

どん詰まりにはテニスコートやサークル小屋、学生寮などが並ぶ。

 

裏門には「愛犬家の皆さん、ふんの始末を」との掲示がある。このキャンパス、地域の住民に散歩スポットとして愛されているようだ。

 

どん詰まりから左手に曲がると、「海洋」っぽさが見えてくる。

 

 

実習船「雲鷹丸」が陸上保存されている。

 

 

さらに先に進むと、怪しげなトンネルがある。ちゅうちょせずくぐっていくと羽田モノレールの真下に出る。

 

 

見上げながらさらに進むと、ドッグとクレーンがあった。

 

 

実習施設。

 

回りは埋め立てられ、海というより、川に囲まれた、という表現の方がしっくりする状況になってしまったが、昔はなるほど、まさに海辺だったんだろう。

 

そこらに腰掛け、休憩してから引き返す。メーンストリートに戻る手前で右折すれば、グラウンドが見えてくる。

 

 

回りの高層ビル、タワーマンションに見下ろされた、広大で静かな空き地。

 

 

海は見えないのに、どこからか潮風が吹いてくる。不思議な場所だ。

 

品川キャンパスのルーツをたどると、1888年(明治21年)に水産業界が設立した大日本水産会水産伝習所にさかのぼる。

 

 

伝習所はやがて農商務省に移管され、官立水産講習所に改称。

 

戦後、大学に昇格し、東京水産大学となった。

 

 

少子高齢化・大学全入時代の訪れとともに、各地で大学の統合と合併が検討され始めたが、その流れに15年以上先駆ける形で東京商船大と合併し、教育体制の合理化と強化に乗り出した。

 

 

具体的にどのような強化がなされたかというと…さかなクンを客員准教授に招へいした、とか、かな?

 

 

  交通メモ

 

東京海洋大学(国立・品川キャンパス)

 

場所: 東京都港区港南

 

品川駅から南に徒歩10分。指示通り、ランチタイムを外して生協食堂で食事を楽しんだ後は、隣の天王洲アイルをぶらぶらしたり、京浜運河沿いを散策したりするのもいい。休日の大井ふ頭も、なかなか乙なものだ。