別に1日に2つ投稿しても構わんよね。



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第10話『宝石強盗』


母に頼まれ、お使いに行く那緯。その帰り道………

那緯「んー?」


向こう側から見覚えのある顔がやって来る。それは…………


那緯「あ、おーい!」


弟・賞宕の友達の壬架雄だった。何故かとても辛そうな表情をしている。


壬架雄「あ、那緯ちゃん!もしかしてお使い?」


那緯「うんそうだよ!壬架雄君は何してたの?もしかして何かの帰り?」


何の気無しに尋ねる那緯。それを聞いた当の壬架雄は、更に悲しそうな表情をする。


那緯「…………?」


違和感を覚え、何があったのか聞こうとする彼女………と、その時。


「うわーっ!強盗だー!!」


突如背後から響く叫び声。振り返るとローブを纏った数人の男が、巨大な鞄を抱えつつ大急ぎで宝石店を後にするのが見えた。




…………それと同じタイミングで、那緯のブレスレットに潜むミサンガが叫ぶ。


ミサンガ『那緯ちゃん!あの泥棒から昨日の“ダツカジキ”ってやつの匂いがする!!』


那緯「え、どういうこと!?」


ミサンガ『もしかすると“レイピア団”と関係があるかもしれない………早く追い掛けよう!』


那緯「…………っ。うん、分かった!」


(色々な意味で)迷いはあったが、目の前で起きた惨劇を見過ごす訳にはいかない。直ちに例の“強盗”を追い掛けようとする那緯。


壬架雄「ねえ那緯ちゃん…………今、誰と喋っていたの?」


怪訝そうに尋ねる壬架雄に、彼女は。


那緯「ごめんね壬架雄君。また今度、ゆっくりと話そうね!」


そう言い残し、全速力でその場から立ち去った。


壬架雄「…………」



しばらくして辿り着いたのは、物好きも通らないような恐ろしい雰囲気の路地裏だった。

那緯「うう、怖い…………」


物音を立てず、慎重に後を追う那緯。ようやく一番奥と思われる場所に辿り着くと、そこには3人の男が奪った宝石を取り出し、談笑する光景が広がっていた。


強盗A「がははやったぜ!今回も楽勝楽勝………抵抗してくるやつも殺せて満足だ!!」


強盗B「ああそうだな!よーし、この調子で他の宝石店も襲うぞ!!」


強盗C「おおーっ!」


那緯「……………」


…………その会話を無言で聞いていた那緯。全身の血が沸騰するような怒りを抑えつつ、淡々とブレスレットの番号を押す。





強盗A「ふうー。さて、そろそろ…………んっ!?」


甲高い物音で振り返る強盗。そこには、銀色に輝くボディスーツを纏った那緯…………もとい、ワンダーウィンダムの姿が。

強盗A「だ、誰だてめぇは!」


強盗B「おい!もしかしてこいつ、ダツカジキ様の言っていた“ワンダーウィンダム”ってやつじゃねぇか!?」


強盗C「な、なんだと!」


狼狽える強盗達に対し、ウィンダムは。


「如何にもその通り!この町の平和を脅かす者は、例え財務省が許しても私が許さない!!」


………と、叫ぶ。


強盗A「ほざけ!お前ら行くぞ!!」


強盗B「おう!」


一斉に飛び掛かる3人。そんな彼等の攻撃を、素早く跳躍しながら躱すウィンダム。そして、間髪入れず………


「ウィンダムフェザー………短剣モード!」


無防備な3人目掛け、袈裟斬りを放つ。


「うっ…………うわああああっ!」


切り裂かれた3人はそのまま地面に倒れ、しばらくすると動かなくなる。それを見たウィンダムは…………


ウィンダム「レイピア団…………人殺しまでしていったい何が目的なの?」


と、静かに怒りを滲ませる。そんな彼女の気持ちを察したミサンガは、何も言えずにいた。





ウィンダム「…………さ、早く帰ろう」


そう言って彼女が変身を解除しようとした…………正にその時!


「カジキカットラス!」


突如背後から響く叫び声、素早く振り向いた彼女は、咄嗟にウィンダムフェザーで防ぐ。


ウィンダム「…………っ!」


隣に立っていたのは………ダツカジキだった。

苛立ちの表情を浮かべる彼は、ウィンダムの身体に伸し掛るかの如く、自身の武器である剣を力任せに押し込む。


「言ったはずだぜ?『次俺達の邪魔をしたら本気で潰す』………ってな!」


「ううっ………!」


果たして、ウィンダム…………もとい那緯の運命は如何に。


次回に続く


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