※注:今回の話ですが、後半部分に非常に不快な表現が含まれています。
ご了承ください。



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第17話『悲惨なミーコ』



「お前、月潟は関係無ぇだろ!
………………絶対に許さねぇ!!」



身体を震わせながら立ち上がる亨。



リブゾル「ほう、まだ立ち上がる力が残っていたとは。面白い、そうでなくては。
フロッグヴァーリ、応戦だ!」



「ゲロゲロゲロ!」



高く跳躍した怪人は
勢いよく亨に飛び掛かる。



バーグ(亨、左に避けろ!)



(左?………………分かったぜ!)



指示を受け、左方に向かって飛び上がる亨。



「ゲロッ⁉️」



攻撃を避けられ、驚愕する怪人。



バーグ(よぉし………………今だ亨!
右手を上にあげて、精神を研ぎ澄ませ)



(ああ、分かった!)



バーグの言う通り、亨は眼を閉じる。
………………途端に、彼の耳から
一切の音が入ってこなくなる。



リブゾル「なんのマネだ?居眠りしているのであればこちらから攻めさせてもらう!
………………やれ、フロッグヴァーリ‼️」



「ゲロゲロッ!」



再び、亨に向かって高く跳躍する怪人。
































亨の瞳が、カッと開く。





「ダイナマイトフィスト!」



の瞬間、激しく燃え上がる彼の拳が
フロッグヴァーリの腹部に命中する。
反動で空中へと吹き飛ばされた怪人は
そのまま全身が木っ端微塵に砕け
爆散してしまった。



リブゾル「…………………っ!
なに………………なんだと⁉️」



激しく動揺するリブゾル。



リブゾル「………………信じられん。
フロッグヴァーリを、一撃で葬るとは。
これが………………ゴライアスの力」



一段落終えた亨が、地面に降り立つ。



「次はお前の番だ、リブゾル!」



リブゾル「畦道亨、なかなか面白いものを見させもらったよ。今日のところは一旦引かせてもらう、次に会うのが楽しみだ」



そう言い残すとリブゾルは、空間の裂け目へと消えていった。一瞬の出来事であった。



「あっ、待て!………………クソッ」



苦虫を噛み潰した顔をする亨。
……………彼の背後では、横たわるミーコと彼女を起こそうとする太郎の姿が。亨も変身を解除して、急いで駆け寄る。





その後ミーコは保健室に連れていかれたが、命に別状はなく、軽い怪我程度で済んだ。



そして、帰り道………………



ミーコ「畦道、佐藤、ありがとう。
………………2回も助けてくれて」



太郎「本当に、無事で良かったよ」



「だよなぁ………………それにしても
ドブネズミは何やってるんだ
………………最近全く姿を見せてねぇし
アイツ、月潟の親友のハズだろ」



亨がそう言った瞬間
ミーコが不機嫌な顔になった。



ミーコ「…………………もう、あんなヤツどうでもいいわ。名前も聞きたくない」



「悪い悪い…………………ったく
とにかく、気をつけて帰れよ月潟。
太郎、俺達も早く帰ろう」



太郎「う、うん」



勢いよく走り出す2人。



ミーコ「………………私も、帰ろう」



ひとりぼっちになったミーコも
家に向かって歩き始める。



………………そして、家に辿り着き、玄関の扉を開けるミーコ。



ミーコ「ただいま………………っ!」



急に彼女の姿勢が強張る。
エントランスに、母親の紀子と
その隣にもう1人、ミーコよりも背丈が低い小学生の男の子がいた。



ミーコ「だっ…………………誰?」



???「ねぇママ~、この女の人は?」



ミーコ(……………ママ⁉️)



紀子「あら、そういえばツカサには
まだ言ってなかったわね………………
この人は、私の娘『だった』人よ」



紀子がそう言った瞬間、ミーコは愕然とした。しかしすぐに正気に戻り、母に詰め寄る。



ミーコ「お母様、どういうことなの?
………………彼はいったい誰なの⁉️」



縋り付くミーコ。だが……………



紀子「………………汚れた手で
私に触れないで頂戴!」



そう叫びながらミーコを突き飛ばす紀子。



ミーコ「きゃっ!」



……………地面に倒れる彼女に
謎の男の子が一歩一歩近づいてくる。



ミーコ「っ………………なに?」



「………………自己紹介するよ
僕の名前は魅羅乃司(みらの  つかさ)
この月潟家の後継者さ!」



司という名前の少年は
ミーコの頬をペシペシと叩く。



ミーコ「みらの………………?
そんな、彼が月潟家の後継者だなんて!
名字が違うのに!!」



紀子「……………随分と鈍感ねぇ。
まだ分からないのかしら?
美子、貴女はもうこの家の
人間では無いということよ」



ミーコ「え……………」



紀子「貴女が知らないのも当然よね。私は水面下で、司君を養子にする為の手続きを行っていたのよ………………だって、貴女のような出来損ないが月潟家の跡取りだなんて恥ずべき事ですもの。彼に託すのは当然よ」



「要するに、お前は捨てられたってこと!チューインガムのようにね‼️」



ミーコ「そん………………なっ」



彼女の眼から涙が溢れ出す。それを拭わず、同じく玄関に立っていた、執事の三田村に問い詰める。



ミーコ「三田村!あなた……………この事を知っていたんでしょ!?
どうして教えてくれなかったの‼️」



三田村「美子お嬢様、申し訳ございません
私もこの事実を知ったのは、つい先程の事でございます。なんとかしてあげたいのは山々ですが、こうなってしまった以上、私にはどうすることも………………」



ミーコ「そんな………………そんなっ!」



嗚咽するミーコ。



紀子「………………分かったでしょ?
この家に、貴女の居場所はもう無い。
さぁ、早く立ち去りなさい。言うことを聞かないなら無理矢理追い出すわよ」



「出てけ出てけー!ハハハ‼️」



ミーコ「…………………っ!」



絶望した彼女は
全速力で月潟邸から飛び出す。



三田村「美子………………お嬢様」



紀子「三田村、あの女の事は忘れなさい
………………これからは、司君が
月潟家の正当な後継者となるのだから」



三田村「………………っ」



悔しさのあまり拳に爪を立てる三田村。そんな彼とは対照的に、上機嫌の司。



「ねぇママ~、お腹空いた~
オヤツちょうだ~い」



紀子「ちょっと待っててね?司
今日は貴方の大好きなプリンよ」



「わーい!ありがとう‼️」




















そして、家を追い出されたミーコは、下を向きながら歩き続けていた。



(どうして…………………どうして!)



悲しそうな表情を浮かべるミーコは
学校の側の公園に辿り着く。看板には『しらさぎ公園』と書かれていた。
以前、武志達と一緒に、亨と太郎を集団で暴行した場所である。



ミーコ「……………私、これからどうしよう」



悩むミーコ、時間だけがイタズラに過ぎる。
………………考えた末に彼女は、取り巻きである久保健太の家に向かうことにした。













………………その頃、某所にて



「お前……………俺をどうするつもりだ!」



ベッドに縛り付けられた中年の男。
その隣には、リブゾルが
微笑みながら立っている。



「答えろ!俺をどうするんだよ‼️」



リブゾル「フフフ………………喜ぶがいい。
これからお前は、俺の忠実な下僕として
生まれ変わるのだ!」



「下僕だって……………?
うっ、うわぁぁぁっ!助けてくれ‼️」



男の目の前が真っ暗になった。
















ミーコ「そうですか………………健太君
まだ帰ってらっしゃらないんですか」



健太の母「そうなのよ~、ごめんね?」



ミーコ「分かりました、すみません
………………ありがとうございました」



親友である健太の家に向かったミーコ。
しかし彼は、まだ家に帰っていなかった。



「……………………」



それなら、土船住武志の家に行こうか
………………否、それだけは嫌だった。
薄情で裏切り者である武志の家には
行かないと最初から決めていた。



考え事を続けながら歩くミーコ。
………………その時、前方から歩いてきた
男性とぶつかる。



ミーコ「きゃっ………………痛い
ごめんなさい、余所見してました」



慌てて謝るミーコ。
しかし次の瞬間、彼女は驚く。



ミーコ「あっ………………あなた!」



ぶつかったのは他でもない
土船住武志だった。



武志「ミーコ!……………ま、マジかよ」



ミーコ「こんな所で会うなんて奇遇ね。
早速だけど……………私に何か
言うことがあるんじゃないの?」



不機嫌極まりない彼女は
武志に詰め寄る。



武志「うっ、それは……………」



ミーコ「なんで、私と健太を見捨てて
あなただけ逃げたのかしら?
学校にも姿を現さないし
………………本当にどういうつもり!?」



武志「わ、悪かった……………本当にごめん
俺もあの時、凄く怖くてさ。
……………死にたくなかったんだよ」



ミーコ「………………へぇ、そう。
とにかく私、あなたとは絶交する。
親友を見捨てる最低な男なんて大嫌い
畦道と佐藤の方が、何百倍もマシよ。
それじゃあね、バイバイ武志」



捨てセリフを吐くと、ミーコは後ろを振り向くこと無くその場から去ろうとした。






























「調子に乗ってんじゃねぇよクソアマ!」



怒声を発した武志は、立ち去ろうとするミーコの口を塞ぎ、そのまま人気の無い茂みに無理矢理連れ込む。



ミーコ「ちょっと…………なんのつもり!?」



武志「……………うるさい、口答えするな
抵抗すると酷い目に遭わすぞ」



そう言うと武志はポケットから小型のナイフを取り出し、ミーコに突きつける。



ミーコ「ひっ!………………やめて、武志!!」



武志「悪いな?ミーコぉ………………っ。
今から好きにさせて貰うぜ!」



ミーコ「いや…………嫌……………っ!
いやぁぁぁぁァァァァッ!!」






















………………数分後。



「はぁ…………………はぁ。ったく、俺に舐めた態度を取るからそうなるんだ。
それじゃあ、俺は帰るぜ。じゃあな」



そそくさと立ち去る武志。



「ひっく……………ひっく。なんで……………なんで私がこんな……………もう、嫌!」



武志に弄り倒されたミーコは、憐れな姿で横たわっていた。制服は切り裂かれ、身体のあちこちに切り傷が生じていた。



……………全てに絶望したミーコは
虚ろな眼差しで空を見つめていた。



次回に続く



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