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テーマの一つである釣りに関する記事をひとつ。

時:2004年6月29日 早朝
場所:秘密
天候:ときおり小雨、ぬるい風が吹き、暑くも無い天気

釣りにはいわゆる“時合い”というものがあります。英語だとprime time(テレビなどのゴールデンアワーの意味も有)このprime には生物が“サカリのついた”という意味もあります。火薬をを薬莢内で爆発させ、銃弾を発射させる雷管のことを“primer”と呼びます。
この“時合い”の状態。何を投げても釣れる。おっかないほどに、つまりポップな釣り雑誌が好んで使うバクチョー(爆釣)というものです。

その日は仕事後に車を走らせ、ある公園の池に行きました。この秘密のポイントは一見何の変哲も無い公園の池ですが、ヒシやハスなどの水生植物が水面に繁茂する絶好のライギョ生息地です。しかしなかなか釣れなくてゼロとか、釣れても1匹とか、小さいのがたまたま掛かるくらいです。
雨が少し降っており、パーカーを羽織って釣りを開始。道具は…

竿:私の手作りで重いけど頑丈なソリッドグラス 硬さはミディアム、6フィート
リール:あろうことか古典的なダイレクトドライブ バスポンドのリボルバー(ライギョには向かないです)
糸:PE 50ポンド
ルアー:カエル型の中空(フロッグ)スミスのグロッサのヤドクガエル色

暗闇の中でハスの揺れる音、そしてライギョの独特の呼吸音である“ポン”というか“スポッ”という音が…通常魚は鰓呼吸ですが、ライギョは上鰓器官で空気呼吸ができます。
確かにライギョがこの暗い水の下にいる…そう思うと血管が拡張し狩猟本能が姿を現します。
1投目。掛かりを良くする為にハリ先研いでポイントをやや外向きに調節したフロッグがハスの上に着水。途端

バフッ!!
すさまじい捕食音と共にルアーが水面下に吸い込まれ、竿が弧を描き絞り込まれる。
体中の血液が瞬時に沸点に達する瞬間です。
一呼吸置いて合わせ。死にもの狂いの抵抗がタコ糸のような太い糸を伝ってきます。
縦横に走る糸をなんとか操り、引き上げると黒光りする魚体。60センチくらいのまずまずの大きさのライギョ。傷つけないように月明かりの下、草むらの上に柔らかく置くとルアーが外れ、まるで水の方向が分かるかのように体をくねらせて逃げようとします。

それからが凄かった。
どこに投げても釣れる。朝四時前から始めてほとんど一投一匹。数え切れない捕食音と水柱、出る魚は大きくはないものの(いわゆる関東サイズはそれほど大きくない)どれも果敢に私の投げたルアーに本性をむき出しにして喰らいついてきました。
全ての条件がピタリと合う、予定調和の感覚です。
しかし

10匹を釣り上げて自分がどうしようもなく狡猾な“欲の塊”に思えて後ろめたい気分になり

20匹を過ぎる頃には恐ろしくなって、八時には撤収しました。