光画部の部長にしてアンドロイドの一風変わった転入生。それがR・田中 一郎である。
春風高校は私学なので面接だけで済んだのだろう。その前はお化け屋敷で働いていたし、アパートで一人暮らしをしている。
春風高校が私服なのはR・田中 一郎の学生服を目立たせるためと、当時の管理教育へのアンチテーゼの意味もあったのだろう。その代償として運動部は軒並み弱くないが強くもないといった所てあり、弱小文化クラブが幾つも乱立している。
今の趣味の多様化の流れと問題点を1980年代に既に表した学校と言える。
それはさておき、R・田中 一郎は全編を通して何も考えてない。それが最も悪い形で出たのが、生徒会長選とバレンタインデーの時だろう。
また、マイペースで場の空気を全く読もうとしないため、他人の話の腰を折る事もしばしばある。
そんな彼がマイペースの衣を捨てるのが、大戸島さんごを始めとした光画部員がピンチに陥った時で、この時ばかりは持ち前のパワーを発揮して力自慢の不良達も恐れをなす程の迫力を見せる。
また、成原騒動の時も散々悩んだ挙句だが生みの親に逆らう道を選んでいる。そして必ずそのそばには大戸島さんごがいた。
あえて言えば、いつもは昼行灯だが、いざという時は頼りになる忠臣蔵の大石内蔵助(をもっと酷くした)タイプだろう。
また、彼自身が自覚しているかどうかは定かではないが、さんごに恋心を抱いているようだ。
天野小夜子や西園寺えりかがすり寄ってきても相変わらずの態度だったが、さんごが二人の前で彼に腕組みをした時は、あからさまに照れていたし、さんごも不良達の一見以来、R・田中 一郎を憎からず思っている。
そしてそんな彼はいつでも道に迷っている。
彼はバブル崩壊以来迷走を続ける日本の姿そのものという側面も持っているのだ。
だがそんな彼も留年をへて学生服を背広に変えて無事就職している(多分噓)。