実はくいしんぼうの修行としての目的地は、おいしいものの食べ歩きを極めることではありません。

 

たべもの、たべることがキーポイント(戦争や疫病、地殻変動などを除く人間と自然の存続のための)になると思ったからです。

 

 

先に取り上げた、フィンランドの本の中で初めて知り、いずれ記事にしようと思っているうちにおとといNHKのBSで同じテーマで取り上げた番組が放送されていました。

 

 

 

フィンランドの「ソーラーフーズ」という会社は2017年に技術研究センター出身の科学者たちが創業し、

 

微生物に餌として空気と電気(再生可能エネルギー)を与えて発酵させて増殖させたものをタンパク質粉末とする、微生物由来のタンパク質ソレインをつくりだしました。

 

同社のキャッチコピーは「空(くう)から生まれるたべもの」。

 

もう少し詳しく説明すると―

タンパク質の作り手は水素細菌(微生物のひとつ)であって、空気からタンパク質ができるわけではない。

生産プロセスは、「水を電気で分解するプロセス」と「微生物を増やすプロセス」から構成される。

 

水を電気分解すると、水素と酸素が生成される。

微生物に二酸化炭素、酸素、水素を与えると、微生物はタンクの中でこれらを栄養分として消費し、増殖する。

この時、微生物の体内では、取り込んだ二酸化炭素がタンパク質(単細胞タンパク質)として貯蔵される。

これを乾燥して粉末にしたものがソレイン(Solein)となる。

 

(サフラン色の粉末)

 

 

ソレインは必須アミノ酸をすべて含む無味なタンパク質となり、その組成は大豆や牛肉、マイコプロテインなどのタンパク質に匹敵する。

 

ソレインのタンパク質含有量は60ー75%。

肉類のタンパク質含有量と比較すると、牛肉は17%、豚肉は14%であり、ソレインのタンパク質は非常に多いことがわかる。

 

無味で、スムージーやソースに加えることができ、ビタミンA、鉄分、ビタミンB群などの栄養素が豊富で炭水化物を含まないため、栄養不足やビタミン不足の解消に役立つ。

ソーラーフーズはこれまでにソレインを使用して、バーガーパテ、ミートボールなど約20の商品を開発している。

 

 

ソーラーフーズの共同設立者のひとりは、

「気候変動から地球を守るためには、食糧生産と農業を切り離す必要がある」と言います。

 

農業の課題は天然資源を大量に消費すること。

ソレインの場合、温室効果ガスの排出量は食肉タンパク質生産の約1%、植物性タンパク質生産の約20%であり、さらに森林の農地化、土壌の瘦せ細り、生物多様性、水供給システムなどの課題にも貢献できる。

 

砂漠や北極、宇宙など極限環境での生産も可能となる。

 

同社のミッションは「せめてひとつの惑星を救う」。

 

2023年前半に新工場での商用生産が開始されます。

 

 

・・これこそが真の「エシカルフード」ではないでしょうか。

 

 

あまたの微生物に感謝を捧げつつ。

 

 

(京都・曼殊院の菌塚)