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弁護人 / 韓国
2013年製作 127分 AmazonPrim
2023年56本目 ☆☆☆☆
1980年代初めの釜山。学歴はないが、様々な案件を抱える売れっ子、税務弁護士ソン・ウソク(ソン・ガンホ)。大手企業からのスカウトを受け、全国区の弁護士デビューを目の前にしていた。ある日、駆け出しの頃にお世話になったクッパ店の息子ジヌ(イム・シワン)が事件に巻き込まれ、裁判を控えているという情報を耳にする。クッパ店の店主スネ(キム・ヨンエ)の切実な訴えを無視出来ず、拘置所の面会に行くが、そこで待ち受けていたジヌの信じがたい姿に衝撃を受ける。多くの弁護士が引き受けようとしない事件の弁護を請け負うことに決めるが…。
光州事件の後の話になるようです。
こちらも、実話ベースで、
なんと主人公ウソクは、ノ・ムヒョン元大統領なんですって。
この方が亡くなった時は、ビックリしましたが・・・・
前半は、やり手で裕福で、ヨットが趣味の弁護士パート。
軽いノリで、ちょっと笑えたり、
陽気なソン・ガンホ様が面白い。
もうね。前半と後半のテンションが、
こんなに違うの???ってビックリするんだわ・・・・。
駆け出しの頃にお世話になった食堂の息子ジヌが、
学生運動の事件に巻き込まれて逮捕されてしまってから、
映画の雰囲気がガラリと変わっていく。
面会に行った時、ジヌは明らかに拷問を受けていたようです。
もう、この拷問シーンが酷すぎて。。。
演技だけで、精神削られるやろうな・・・って感じなんですよね。
この作品は、ソン・ガンホ様の言わずと知れた演技力が光ります。
軽妙な弁護士、金儲けの手段として、
弁護士をしている男が、拷問で自白を強要されたジヌと出会って、
徐々に顔つきが変わっていく感じが、
本当に素晴らしいんですよね。
信念を持った男っていうのは、こんなにも色気が出る説が、
完全に証明されていると思います。
奥様と一緒にいる場面も、前半は完全エロじじいって感じなんだけど、
後半、奥様と、家にかかってきた不審電話の話をする時の
ソン・ガンホ様は、色気がありました。
なんとなく、前半パートが長く感じるかも知れないけれど、
その前半があるからこそ、
ソン・ウソクという人間の心の動きが緻密に描かれているし、
人間は信念を持ってこそ、輝くのだという事を、
感じさせてくれるんだと思う。
そして、我らがシワン様ですよね・・・
映画のデビュー作になりますけど。
末恐ろしい感じがしますよね。
ソン・ガンホ様に負けていない、繊細な演技が、
素晴らしいんですよね。
まだ事件の起こらない、定食屋の息子
朗らかで、明るく、母思いの優しい青年が、
急に逮捕されて、拷問を受け、
精神が壊れてしまう。
そして、全てを諦めた虚ろな青年になってしまう。
そこから、ウソクと出会い、彼の信念に導かれて、
自分自身の中にも、勇気が芽生えていく。
この3ツの段階をね。
特段、大きな台詞もなく、劇的な変化もなく、
ほぼ、目の演技で表現してるんですよね・・・・。
そりゃ、アイドルだけど、
俳優として引っ張りだこになるわな・・・
そして、この2人を中心として、脇にもしっかり素敵な方々が。
イ・ソンミン様が新聞記者役で。
始めはウソクを軽蔑していたけれど、彼の行動を見て、
記者として力になろうとするんだよね。
シャツ交換のシーンは、無言だけどさ~
ココもね~。胸アツだよね~。
こう、言葉には出さないけれど~ってヤツですよ♡
そして、こいつ、マジ怖い・・・・
公安といえば、コヤツ・・・・。
でも、この人も結局、上からの命令で、
こういった道に入ってしまったような描き方もあって、
この時代の恐ろしさを感じた次第です。
エスカレートした人間は、どんな事でもしてしまう・・・・
国の恐ろしさ、そして、人間の恐ろしさを痛感。
ホント、韓国の実話ベースの映画を観て、
現実ってヤツが、本当に怖い・・・・と震える事、度々です。
しかも、1980年という、そんな遠くない過去なんですよね。
結局、光州事件で取り締まりが更にキツくなって、
こういう事が起こったのかな。
理不尽で納得いかないけれど、最後は、少し希望が見れたかな。
こういう人達の信念と勇気が、時代を変えてきたんですよね・・・・
こういう時代を越えて、今の韓国があると思うと、
ずっしりと歴史の重みを感じます。
しかし・・・・
ユン中尉の行く末が心配でたまらんかった。
この人、どうなったんだろう・・・・
想像すると、怖いよぉぉぉぉ~・・・・
関係ないけど、出てくる人みんな。
ちょっとズラっぽく見えるのは、時代のせいでしょうか(笑)