【韓国映画】タクシー運転手 私の中で何かが引っかかるんだ | ROUTE8787 サンサクキロク

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タクシー運転手 約束は海を越えて

2017年 137分 Hulu

2023年40本目 ☆☆☆

ソウルのタクシー運転⼿マンソプは「通⾏禁⽌時間までに光州に⾏ったら⼤⾦を⽀払う」という⾔葉につられ、ドイツ⼈記者ピーターを乗せて英語も分からぬまま⼀路、光州を⽬指す。何としてもタクシー代を受け取りたいマンソプは機転を利かせて検問を切り抜け、時間ぎりぎりで光州に⼊る。“危険だからソウルに戻ろう”というマンソプの⾔葉に⽿を貸さず、ピーターは⼤学⽣のジェシクとファン運転⼿の助けを借り、撮影を始める。しかし状況は徐々に悪化。マンソプは1⼈で留守番させている11歳の娘が気になり、ますます焦るのだが…。

 

リュ・ジュンヨル様祭り、一応、最後の作品となりました。

作品の中でも、多分1番高評価の作品が、

こちらです。

 本当は、以前観たんですけど、

序盤も序盤で、実母が遊びにきてテレビを占拠されたので、

中断したまま、観る機会を失っていたんです。

 なので、リュ・ジュンヨル様が登場するなんて、

全然知らなかったんですね。

 

で、今回観てみて、

何が驚いたかっていうと、

この光州事件って1980年っていう事なんです。

たかだか、43年前に、こんな非人道的な事件が起こっていたなんて、

ちょっと衝撃だったんです。

 

でも、更に観続けていると、

そんな衝撃を感じた自分が、情けなくなったんです。

 

学生運動とは無縁の世界で生きているマンソプが、

そんな現実も知らず、光州へ入って、

屋上でオニギリを呑気に食べているんですよね。

 でも、いざ銃撃戦が始まり、現状を知っていく・・・・

 

っていう過程が、今の世界にも普通にある事なんだと思ったんです。

 

自分は普通の生活をしているから、

平和だな~・・・と感じてしまいそうだけど、

世界ではウクライナを始め、

様々なところで戦争・紛争が起こっているワケなんですよね。

 43年前だから衝撃とかではなく、

今現在でも、非人道的な事は、起こっているワケで。

 決して、過去の悲劇的な出来事ではないんですよね。

 

そう考えると、いつも、自分の無力さを感じるだけで、

何も出来ないんですけど。

 こういう映画を観て、自分の無力さを感じると、

生きていくのが難しいなぁ・・・・って思います。

 結局、無力な自分は、

毎日を地道に、しっかりと生きていくしかないよね・・・

って思うんですけどね。

それで、いいのか???っていう疑問が、付きまといます。

 

 この作品は、実話を再構築したフィクションなんですが。

こういった悲惨な事件があった事を知れたし、

感動もしたんですけど。

 何かが、私の中で違和感として、残っていて。

それが何なのか、今日1日考えていたワケなんですね。

 

ソン・ガンホ様の演技は素晴らしかったです。

学生運動に興味なかったマンソプが、その現実を知っていく過程や、

外国人記者との結び付きも、

凄く丁寧に描かれていたと思う。

 リュ・ジュンヨル様演じる通訳学生の行く末も、

「ああ・・・こういう犠牲者が沢山いたんだろうな」と、

理解出来るものだったと思う。

 

なのに。

何かが、引っかかる。

 

それは、最後のカーチェイスにあるんだと、

先ほど、風呂に入っている時に、その答えに辿り着きました。

 

いや、、実話をもとに再構築している、

フィクションなので、それは良いんですが。

 

死者が多数出ている事件を描いている作品で、

必要かどうかも分からないカーチェイス場面で、

更に、死者を増やさないで欲しかった。

 

・・・・という違和感だったんです。

 

あのカーチェイスが、必要だったかどうか。

私は、必要なかったし、

あの場面を入れる事よって、運転手さんが死んだり怪我したりするのは、

無駄に事件の死者を増やしているようで、

痛々しく感じてしまったんです。

 

 通訳学生の死は、実際にはなかったとしても、

その一人の死から、多くの無残な死を感じる取る事が出来ます。

でも、カーチェイスから、

同じような死を、感じ取れはしません。

 なぜなら、カーチェイスシーンが、

この映画に必要では無かったからだと思うんです。

 

実話による再構築による作品であったとしても、

後世の人間を楽しませるために、こうして死者を増やす事が、

どうしても、私にとって、違和感でしかなかったワケなんですよね。

 

 逆に、検問で、運転手と記者を見逃した軍人も描かれていましたが、

あれも真実がどうか分からないけれど、

私は、あの時代でも、

ああいう「良心」があったはず・・・という事は、

理解出来るので、とても良いシーンだと思えたんです。

 

なので、カーチェイス部分をカットして、

最後の山場を、あの検問にしておけば良かったんじゃないのかな・・・・と

思った次第です。

 

 なかなか、この違和感を伝えるのは難しいんですけど。

語弊はあるかも知れないけど、

二次的被害的な感じ??なのかな。

 そういう嫌悪感が、残ってしまったんです。

 

まぁ・・・しかし。

43年前の事件を、同じ韓国がこうして映画化出来ているのが、

素晴らしいなぁと思いますよね。

 1989年の天安門事件と比べると、余計にね。

 先人たちが勝ち取った自由なんですよね。

 

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