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毒戦believer / 韓国

2018年 124分 NETFLIX

2023年38本目 ☆☆☆☆☆

リュ・ジュンヨル祭りも終盤になってきました。

こちらの作品、もともとは、香港映画がオリジナルのようですが、

そちらは、未観です。

 

ネタバレあらすじ

巨大麻薬組織の頂点に君臨する「イ先生」は、誰も顔を見た事がなく、

謎に包まれている。

長年「イ先生」を追っている麻薬取締官のウォノだが、成果もないどころか、

おとり捜査の少女が殺された事で、捜査の中止を上司に宣告される。

 諦めきれない矢先、麻薬製造工場で爆発があり、

ある一人の青年が、唯一の生存者として現れた。

 

 その日、その工場では幹部たちが集まり会議の予定だった。

そこを爆破して上層部を一掃する・・・・

それはイ先生が勢力図を塗り替える時に行う手法だった。

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その青年は、「ラク」と名乗り、母親と一緒に長年、

組織の雑用と連絡係をまかされていた。

母親は爆発で死亡、飼い犬は大怪我を負った。

 ラクの情報から「イ先生」は近々、

中国のバイヤーと取引をする予定だったといい、

ウォノは、大きな潜入捜査を提案した。

 

 本来は、ソンチャンという組織上層部の人間と、

中国バイヤー・ハリムによって、取引が行われる予定であり、

ウォノが、まず「ソンチャン」としてラクと共に、ハリムに会い、

その後、時間をずらして、ハリムとして「ソンチャン」に会い、

取引を成立させ、「イ先生」までたどり着こうという算段だ。

(ハリムの原料を貰い、それで麻薬を作成する・・・という取引)

 

ハリムという人間は、野蛮で攻撃的で、

危ないヤツだった。

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圧倒されたウォノだが、ソンチャンとして対応し、

目ん玉を飲まされたりしながら、何とか乗り切った。

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ハリムは、用意したライカという麻薬を吸引し、

その効果に酔いしれた後、取引をするとの返事がった。

 

その1時間後には、今度は、ハリムとなったウォノの前に、

ラクとともに本物のソンチャンが現れた。

先ほどの、本物のハリムを真似て、

狂暴にふるまうウォノ。

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ラクが用意した「ライカ」を差し出すが(偽物)

その純度の悪さにソンチャンが気付き、

自分のものを試すように促す。

 「ライカ」を吸い込むウォノは、

ソンチャンに「必ず、次の取引にはイ先生を連れて来い」と

伝えたのだった。

 麻薬を吸引し、一時は心臓マヒを起こしたウォノ。

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 何とか、取引が成立し、ハリムから届いた原料で、

麻薬の製造を行う。

 ラクと馴染みの聾唖の若者2人が、製造を行う。

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 ラクとは仲が良さそうで、母親が死んだと知ると、

すぐさま、法事をセッティングした。

笑顔をみせるラク。

 

ウォノはラクの出生について尋ねる。

爆破で亡くなった母親は、ラクの本当の母親ではなかった。

定期的に入ってくるコンテナ船の中にいたラクを、拾いあげ育てたのだ。

 母親には、ラクという息子がいたが、トラックで亡くしており、

死亡届を出していなかった事から、ラクとして育てられたのだった。

「それで、僕はラクですか?」そう問いかけるラク。

ウォノはラクを見つめるだけだ。

 

 

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麻薬製造工場に突如、ブライアン理事が現れた。

ブライアンは、ラクに、事故で失った母親は残念だったと話し、

慰謝料を手渡した。

ラクは

「これはイ先生からですか?」と聞いたが、返答はなかった。

 ブライアンは、ソンチャンにラクを切るように命令したが、

今の取引にラクは欠かせないと話す。

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麻薬が出来上がり、この取引で関係者を一斉検挙する予定だったが、

その前に、ハリムが現れ、

ラクとウォノは拉致されてしまい、

警察だとバレてしまう。

 隙をつき、反撃したウォノ。

銃撃戦となり、最後は、ラクがハリムの頭を撃った。

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同時刻、麻薬製造工場でも何者かによる攻撃があり、

警察官が殉死した。

 ウォノは、ラクに知っていたんじゃないかと問い詰めるが、

ラクは否定する。

 

ウォノとラクは、作戦を継続した。

ソンチャンに麻薬を届けたラクは、ウォノに、

「イ先生が確認したら、連絡がきます。

僕が信じられませんか?それでも、僕が必要でしょう

僕はチーム長を信じます」

 

麻薬の確認をしたイ先生から連絡が入った。

指示された場所に、ハリムとして向かったウォノを、

ブライアン理事とソンチャンが出迎えた。

 

ソンチャンとラクは別室へ、

ブライアンは巨大な麻薬工場へとウォノを案内する。

 

ブライアンは、ウォノに「イ先生は自分だ」と話す。

疑惑の目を向けるウォノに、ブライアンは、苛立ちを抑えきれない。

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 ブライアンの手下に包囲されたウォノ。

その時、「イ先生」からのお届け物が届いた。

 それは、先ほど、ラクと消えたソンチャンの切断された腕だった。

煙筒が投げ入れられ、騒然と銃撃戦が繰り広げられた。

 

その最中、ブライアンは何者かに拉致され、目覚めた時、

目の前には、麻薬作りをした聾唖の青年2人が立っていた。

 部屋の隅には、ソンチャンの腕の切られた死体がある。

そして、現れたのは、ラクだった。

「イ先生になれると思ってたんですか?

確かになれたかも。僕が死んでいたら」

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ブライアン理事のミスは、3つ。

母親を殺害した事 犬が大けがを負った事 

そして、僕になれると思った勘違い・・・

 聾唖の青年たちが、大けがをした犬の写真をもとに、

ブライアン理事の背中をバーナーで同じように焼いていく。

 

ウォノの元に電話が入る。

「信じると言いましたよね。

捕まえましたね。イ先生がこれから1階に・・・」

 

1階には、背中を焼かれたブライアンが放置されていた。

ウォノは、全てを察知し、「ライカ・・・」と呟くと、

怪我をしたラクの飼い犬の病院へ向かったが、

その時には、もう、犬はいなかった。

 

 ラクは、この犬の名前を犬種が違うのに「チンド犬」と呼んでいたが、

ウォノが「チンド犬」と呼んでも、反応すらなかった。

ある日、ウォノが不意に「ライカ」と呼ぶと、

犬はスッと立ち上がり、名前を呼ばれたとばかりの反応をみせたのだ。

 

 ブライアンの身柄と、大量の麻薬の回収。

「イ先生」逮捕で、事件は幕引きとなった。

 しかし、本物の「イ先生」はラクだと知っているウォノは、

警察手帳を残して、雪山で車を走らせていた。

 GBSが示したログハウスに到着し、

「ライカ」と叫ぶと、回復した犬が走り寄ってきた。

 その犬の名前が「ライカ」であると知った時、

犬にGPSをしかけていたのだ。

 庭には聾唖の青年2人が、こちらを窺っている。

ログハウスから、ラクが顔を出した。

 

家にウォノを招きいれ、

「ライカにGPS?何のために?」とラクが問う。

「お前を見失うかと・・・」

「自分を信じますか?なぜ、ここまで?」

「そうだな」

「いい人だ。イ先生は死にました」

「公式的にはな。お前は生きてる」

「それで、僕は誰?僕も分からない

乗ってきたコンテナに、両親もいました。

密航中、ヤクで死にました。両親とも、僕の目の前で。

どうしますか?」

 

コーヒーをすすめられ、テーブルについたウォノ。

テーブルの上に、銃が置かれた。

ラクもまた、テーブルにつき、銃を置く。

対峙した2人。

窓から見える雪山を眺め、ウォノはラクに質問する。

「人生で幸せだったことは?」

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そして、銃声が短く響いた。

聾唖の青年たちに、その音は届かない。

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