【邦画】レジェンド&バタフライ① ネタバレあり 唯一無二の木村拓哉様 | ROUTE8787 サンサクキロク

ROUTE8787 サンサクキロク

好きなものを好きなだけ。
韓ドラ狂騒キロク
映画と音楽とドラマがあればいい

image

 

レジェンド&バタフライ / 日本

2023年1月公開 168分 ☆☆☆☆☆

Amazonprime 2023年15本目

尾張国の織田信長(木村拓哉)は大うつけと呼ばれるほどの変わり者だった。敵対する隣国・美濃国の斎藤道三の娘・濃姫(綾瀬はるか)と政略結婚という形で出会った信長は、彼女と激しくぶつかるが、今川義元との戦で一緒に戦術を練ったことから二人は固い絆で結ばれるようになる。そこから二人は、天下統一に向かって歩みだす。

 

本当は劇場で観たかった作品だったけど、

時間が取れず、観れなかった作品です。

 まさか、こんなに早くAmazonprimeで観れるとは思わず、配信日を楽しみにしていました。

 

朝の8時、子供を送り出してから、

家事そっちのけで、観た次第。

168分 本当にアッと言う間で、むしろ、終わるのが惜しくてたまらなかった。

 

 私は、木村拓哉さんがそれほど好きではなかったし(←過去形です)

「何を演じても、木村拓哉やんけ」(←言い方)と思っていたクチなんですが、

いつ頃からなのかなぁ・・・・

逆に、これほどの「木村拓哉」臭を出しながらも、

その役柄そのもに見えるのって、凄くない???と思い始めたのは・・・・

故に、木村拓哉さん以外の人が演じるとか、

想像出来ない。

 そして、年々、

その演技に磨きがかかっているし、

近年の、恋愛モノ以外の役柄に触れてくると、

ますます、この方の才能に、驚愕するばかりです。

 

演技の上手な方は沢山いますが、

木村拓哉さんのように、自分と言うハコの中に、

役柄が入り込み、まるで共存するような演技をされる方は、他に思い付きません。

 

今作は、歴史上の人物「織田信長」という人間の、

青年時代から、

繁栄、衰退を演じているワケですが。

 濃姫がやってくるのを見つめる視線(50代でこの若々しい視線は、

神がかってる)

得体の知れない濃姫への嫌悪が、徐々に、同志へと変化していく様

その中で、夢を手に入れた自信と、

「人」である事を手放した時の、空虚感

・・・様々な心情の変化を、

緻密に演じておられます。

 

面白い事に、「人」ではなくなり、

濃姫を失った「信長」は、完全に、

木村拓哉さんじゃないんですよね。

小さくなって、何かにおびえた「おじいちゃん」になっているんです。

 でも、濃姫をもう一度、近くに置くと、

再び、「木村拓哉」さんに戻ってくるんですよね。

 意図してないにしても、そういう部分は、

信長が自分らしくいられる存在は「濃姫」であって

そこには、深い愛情があるという裏付けになっているんですよね。

 甘い言葉や甘いシーンはなくとも、

こういう演技で、

表現出来る事が、本当に素晴らしいと思うんです。

image 

恋愛映画でありながら、2人のラブラブなカットがあるワケでもないのに、

最期のシーンでの濃姫への長年の想いを吐露して、自害するシーンが、

じーんと胸に沁みるのは、そういった演技の賜物じゃないでしょうか。

 そういう演技じゃなかったら、正直、

スケールの大きい信長の最期の台詞として、

それはないやろ・・・と

興ざめしちゃう所です。

 

 この作品は、戦場面を潔くカットし、

戦乱の世を描きながらも、

「信長」を一人の男として、

描いています。

 あの有名過ぎる本能寺での最期を、

「愛」に着地させるのは、大きな挑戦で、

それを、見事に成功させたのは、木村拓哉さんの唯一無二の演技力だったと、

私は、声を大にして言いたいのです。


 綾瀬はるかさんも、本当に素晴らしかったです。

アクションのキレも素晴らしかったし、

木村拓哉さんとの相性も、

抜群に良かったと思います。

image

台詞の重厚感も圧巻でした。

 

もう、この演技だけで☆5つなんですけど、

正直、残念に思った所が、3点あります。

 

① あまりにも、ぶつ切りぶつ切りだったから、

信長の心情の変化が分かりにくいという点。

 天下を取ろう!!ってなって、次のシーンでは、

もう「人ではない」みたいになってて、

個別の演技としては素晴らしいんですけど、そうなった経緯が、

ちょっと雑であった事。

 でも、これは、時間上仕方ないとは思うけど、

私的には、濃姫と信長が京都散策で巻き込まれる事件をカットしてでも、

その辺りに時間を費やして欲しかったかな・・・と思う。

 

② CG 映像が雑

 お金かけていたワリに、

なんだか、作りもの感があって、

残念でした。

 

③ 音楽が・・・・

 音楽がね・・・・なんか、古臭いような・・・・ 

 

 他のキャストも良かったし、

何気に「信長」の歴史ポイントを、

きちんと踏襲していて、

完全に、「空想」にしなかった所も、良かったかなと思います。

 

全く別物にしなかった木村拓哉「信長」だからこそ

時代のどんな流れに翻弄され、どんな稀有な人生を生きていても、

人間は、結局、「愛」なのだと感じずにはいられません。

 その「愛」には、純粋無垢なものもあれば、

歪だ愛もあるかも知れないけれど。

 つくづく、人間は「愛」に回帰していくんだと。

遠い遠い、歴史上の出来事の中でも、

こうして、愛が生まれ、愛が散って。

 それを繰り返して、今があるのかなって思うと、

切ないような、幸せなような気分になりますね。

 

 最後の夢の話なんですけど・・・・

私は、あの夢のままの最後も、

アリかなって思いました(笑)

 昔読んだ小説で、最後、織田信長は時代をスリップした・・・っていうものがあって、

それが、めっちゃ良かったんですよね。

 ずっと、

それをまた読みたいと思っているんですけど、

検索しても出て来ないし・・・・

タイトルも半分、忘れてるんですけど、

「〇〇Nの憂鬱」なんですけど・・・・

このNが、信長の「N」なんですけど・・・・。

すっごく、面白かったんですよね~・・・・

(すみません、余談でした)

 

それと同じ発想で、そういう展開でもいいな~と思いました。

 

悲恋でありながらも、

不思議に落涙はなかったのは、

そういった仕掛けがあったせいかも知れません。

 

この作品での信長と濃姫の魂は、2人寄り添って、

風になって、異国の地を色々と訪れている事でしょう。

しばらくは、頬をなでる風を感じる度に、

2人の事が頭をよぎり、この作品の余韻に、

浸る事になりそうです。