暗数殺人 韓国
2020年 110分 ☆☆☆☆
2023年映画10本目 NETFLIX
恋人を殺したカン・テオ(チュ・ジフン)から計7人を殺したと告白された刑事のキム・ヒョンミン(キム・ユンソク)は、証言以外に証拠はなく警察内部で信じる者は誰もいなかったが、自白の内容は本当だと感じ、上層部の反対を尻目に捜査に乗り出す。やがて証言通りに白骨化した死体が見つかるが、テオは「死体を運んだだけ」と証言を覆す。
まぁ、内容はともかくとして、
俳優の勝利ですよね
チュ・ジフン様の、カン・テオ役には、始めのシーンから、
目を奪われて、そむける事が出来ないほど、強烈。
はじめから、最後のその一瞬まで、
表情がくるくると変わり、それゆえに、おぞましい。
流暢な訛りで、日常会話のように殺人や切断の話をする異常さは、
ちょっと別次元の人間で、サイコパスと呼ぶにふさわしい。
人懐っこさ、人をくったような笑顔、
怒りの沸点に感情が暴走する凄み
同情を得ようとする悲哀の表情
そして、分析を行う冷静な目
言葉が悪いが、非常に魅力的なサイコパスを、
完璧に演じていたと思う。
そういう演技を拝むだけでも、
この作品を観るに値するだろう。
これに対して、キム刑事役のキム・ユンソク様の演技は、
常に物静かでありながらも、内なる執念と、
不屈の精神を感じさせてくれる。
物語は、残虐な殺人場面を描く事はせず、
地道な証拠探し場面が続く。
実話がモチーフになっている為、華やかさがないのは確か。
2人が相対するシーンでも、大きな怒号が飛ぶワケでない。
けれど、
静かな言葉で繰り広げられる探り合いは、
それだけで非常にスリリングだ。
暗数とは、事故・事件の件数などで,届け出もなく,調査も及ばないため,統計にあらわれない実数の事。
行方不明でも、捜索依頼が出されないケースが多い。
人知れず、事故や事件に遭い、死んでいく。
その現実が、切なく余韻として残る。