超難解な映画だった。


私には、ちょっと、手に終えない。

何度も何度もみて、更に年を重ね・・・・

そうして、やっと、この映画の凄みが、分かるのかも知れない。

 表面で描かれている描写のみなら、
一体、何を伝えようとしているのか、まるで分からない。
 主人公の恋愛に重きを置くのか、
ゼロ戦を作る事からの、反戦。
もしくは、そうすることへの葛藤なのか。

 どれもこれも、存分に描かれていない。

 目に見えるものと見えるものの、その行間の、
見えないものを、見出す映画なのだと、思う。
 それが、「映画」と呼べないなら、「駄作」だろうし、
「映画」と呼べるなら、「秀作」なのかも知れない。

私には、難しくて、
その行間を、読み解くことは出来なかったけれど。

一見、突飛なように見える主人公と菜穂子の恋愛も、
主人公のちょっとした仕草で、二人の深い愛を感じる瞬間があった。
 そして、一見、ゼロ戦を作り出すことへの葛藤など、
描かれていないように見えるが、
 ちょっとした場面に、二郎の苦しみを、感じることの出来るシーンがあった。

 あの時代は、どんなことも、多くを語らなかった時代であり、
言葉に出さなくとも、その心に、情熱はあった。
 宮崎駿監督は、そんな風に描きたかったんじゃないかな・・・と思う。

子ども向けでは断じてないし、大人であっても、
ちょっと、難しい。
 
宮崎駿監督は、あらゆる名作を生み出してきた。
可愛く、美しいアニメーションの世界に、様々なメッセージを残してきた。
 そんな宮崎監督ならば、
同じ題材であったとしても、もっと、分かりやすく、
もっと単純に、この作品を作ることも出来たと思う。
 それでも、あえて、こんな風に、難しい作風に仕上げことに、
私は、意味があるように思える。

たとえば、難解な文学を、読み解くかのような。
人間が一生懸命に読み、自分なりの答えを、探ろうとするような。
 そんな映画に、仕上げたかったかったのではないだろうか。

検索すれば、あらゆる情報が手に入り、
単純なものが溢れている、世の中。
 その実、複雑に絡み合っているのに、それに気付かないまま、
日々を過ごそうとしている事への、警鐘かも知れない。

 そんなワケで、評価も分かれるところだろうと思う。

私的には、やっぱり、最後まで、ジブリであって欲しかった・・・

・・・という印象だろうか。
単純な面白さ・楽しさから入り込み、見返すうちに、素晴らしいメッセージに出会う・・

・・・そんなジブリ映画を、最後に、観たかったな・・・と。

 読解の難しさは、村上春樹にまかせればいい。
文学の世界にまかせればいい話で、やはり、映画は、
ある程度単純で、観返したいと思わせて欲しいな・・・と思うのだ。

 とはいえ、「紅の豚」や「ハウル」「コクリコ坂から」などの作品を観ると、
宮崎監督が、単純さだけではない作品を求めていたのも分かる。
 宮崎監督が、最後だからこそ、自分の思うままに・・・という事なのだから、
仕方ないのかも知れない。

 とはいえ、私は、もう1度観るか??

・・・と自問すると、正直、観ないかな~・・・・

 幾ら、難しくとも、もう1度観たい!!と思わせる「何か」が、
この作品には、無かったのだ。
 今までの作品のように、一瞬のうちに、心を奪われるような、
そんな瞬間が、この映画には、無かった。

 私は、やっぱり、単純でありながら、
常に揺るがないテーマを持つジブリ映画が好きだ。
 ジブリ映画ではなく、宮崎駿監督の映画そのもの・・・と捕らえるべき作品なのかも知れないと、強く思う。

  

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