父は全身の倦怠感に苦しんでいた。


食欲はあるし

自力で歩くこともできるけど

とにかく起きていられないほどの

全身のだるさがあり

ずっとベッドで横たわっていた。


私が食事を用意すれば

しっかり食べるけど

ひとりの時間は

食べるより寝ていたい、と

積極的には食事してなかったんだろう。




かかりつけ医は

コロナの診断をもらって以来11日ぶり。

痩せてしまった父を見て

とても驚かれた。


父の、言葉が出てこない様子などは

脳梗塞などではなく

栄養不良で酸素がうまく脳に

回ってないのでは、との診断。




私が

地域包括ケア病棟に入院して

療養させたい旨伝えると

すぐに手配してもらえた。

だけど

病棟の調整で翌々日になる、と。


その日は栄養剤を点滴してもらい

帰宅。

翌日の水曜日は(普段何もしない)上の弟が

かかりつけ医に連れて行ってくれ

点滴。

食事は下の弟が用意してくれた。




ようやく入院当日。

私はたまたま仕事が休みだったので

早朝まだ暗いうちに家を出て

父を迎えに行った。

父はもう着替えて待っていた。

とにかく早く入院したい様子。

父の着替えなどを用意した。



9時前に受付してから

病棟のベッドに寝かせてもらうまで

2時間半。

医師の診察、血液検査、CTなど

あちこち周って

そして待つ、待つ、待つ。

父は疲れ果ててしまった。

車椅子に座って

冷房の冷気が寒い、寒いと震えていた。

(ちなみに私はクーラーの冷気がゆるくて

暑くて死にそう)








医師が言うには


検査の結果、

肺にコロナの影響と思われるモヤがあるが

肺炎ではない。

このモヤに対しては抗生剤を投与するが

他には積極的治療をするような

疾患は無い。

血液検査の結果も血圧もよい状態。

高齢者のコロナ後遺症は長引く。

ここでは入院療養は60日しか出来ません。




とのこと。




私は、自分が去年かかったコロナの際、

10日は倦怠感で動けなかったので

父はその倍として3週間くらいで

よくなると思っている。

3週間くらいしっかり栄養をとって

他に何も心配せず静養すれば

また元気いっぱい、

かくしゃくとした父に戻る、と。

60日しか入院できない、って

60日入院することになるはずない、と。





だけど不安になる。



父はこのまま衰弱するのではないか、

自宅に戻れなかったらどうしよう。





父は創設以来の生粋のカープファン。

勝った、負けた

と一喜一憂し

勝った日の新聞は切り抜きをしている。

その父がコロナ罹患後

カープのことを気にすることすらできず

テレビ中継もラジオも

聞く気にならない、と言う。





コロナでの発熱は1日だけ。

翌日には座椅子でカープを見ていた。

食欲もあった。

自分でさっさと冷蔵庫から

食材を出して料理もしていた。


それが、私もコロナ感染し

5日間療養してる間に

父はこのような状態に。


志村ケンさんのコロナ訃報のころのような

恐怖は今や無いけれど

5類になったからといって

やっぱりコロナは

普通の風邪とは違うのを実感している。


コロナ、ほんとに怖い。



ちなみに

私は身体はすっかり元気だけど

また味覚障害がある。

去年は全てが苦かったけど

今回は味が無く感じたり

突然塩味だけが感じられたり。

量も食べられない。





父が自宅に元気に帰るころには

季節が変わっているのかな…


誰もいない実家で片付けをしながら

そう思った。




母の遺影、

仏壇のご先祖さまに

父をまだ連れていかないでよ!

と強くお願いした。