セックスをした後、

何故か牛丼を食べたくなる。


それは吉野家でも松屋でもすき家でもいい。


相手に知られないように、

普段出すことの無い声を過剰に上げ、

喉はカラカラのはずなのに。


塩分とスタミナを求めて、

私は牛丼を食す。


牛丼屋はいい。

深夜まで営業していることも、

カウンターで黙々と食事をするだけの雰囲気も。

メニューで迷うこともないし、

無駄なコミュニケーションも必要ない。

待ち時間も短く、明朗会計。


先程まで繰り広げられていた、

男との情事を匂わすことも無く、

ただひたすらに箸を動かして、

牛丼を口に運ぶ。


そこで男の面影や回想にふけることはない。


お腹が空いていたのかと聞かれれば、

そうでは無い。


どんなに盛り上がって、

身体を重ねたとしても、

今、一人であることを自覚するかのように、

私は牛丼を食べている。