1000キロ離れたところに住んでいる男に、
私は抱かれに行く。
積み重ねた時間も、将来の約束も、
私は何も持っていない。
そして私が持っていないそれらを、
持っている女と彼は暮らしている。
声が聞ければいい。
話ができるだけでいい。
誰に言い訳しているのか
分からない関係から、
会いたい。
触れたい。
とお互いが求めるようになるのに、
そう時間も労力も必要なかった。
ごく自然で当たり前の、
付き合い始めの高校生のような気持ち。
年齢や経験を理由に、
素直な恋愛する気持ちをどこか否定していた
情けない大人。
でもいくつになっても、
どんな体験を経ても、
好きな男にはときめき、抱かれたいと思う。
初めて身体が繋がり、一つになったとき。
お互い興奮していたこともあるけど、
心の欲求と身体の欲求のバランスが保てなくて、
私にとっては久しぶりのセックスでもあり、
あっけなく男が達した。
「・・・えっ、もう?」
初めて身体を重ねたのだから、
それが彼のにとって、早かったのか、
通常だったのかは分からない。
「俺たち、相性よすぎるんじゃない?」
「お前が気持ちよすぎるから、すぐイッちゃう」
そう言えば、私が喜ぶと思ったのだろうか。
今までも何人かの男に言われたことがある。
「あなたは素晴らしいモノをお持ちです。」
男性と違って、外見では判断しづらく、
自覚症状も持てないままだったが、
彼の発言に既視感を感じたのは確か。
彼とは今までの恋愛とは違う、
特別な何かがあると自惚れていた。
所詮、彼も今までの男たちと、
そう変わりがないのかと、
少し残念に思った。
相性がいいなら、
忘れられない名器なら、
もう二度と手放さなければいい...