チャンミンの声に反応して、こっちを振り返ったが、その目は焦点が定まらず、また振り返ってユノとユイを確認すると、ふらつく足元を隠して、その俳優は二人の前に崩れ落ちるように座った。
何か飲まれますか?
ユノが重ねて聞くと、
いらない、と言って、ふうっとため息をつく。
回りは関係者に連絡を取ったり、
車を回したり、
揉め事にたいする準備を進めながら、
我々四人の様子を伺っている。
厄介な客を招き入れた、事情がわかっていなかった新しいマネージャーがおろおろとこっちに近づいてこようとして、昔からのスタッフに止められて、渡されたグラスを上の空で受け取って、ひとまず近くの卓に座ったようだ。
彼を責めてもしょうがないと、多分ユノは考えている。そして、それを回りは理解している。
こういうところが、ユノのスタッフがなかなかやめない理由だとチャンミンは思う。
長く東方神起を担当した会社所属のマネージャーが、ユノの復帰を待っていたかのように退社した。
世界が全部敵になっても、俺だけはお前らの味方でいてやろうと、あの頃は思いこんでいたもんだった、と、いつもは無口なマネヒョンが、ユノの転役の夜、少し酒を過ごして、チャンミンに告白した。
ユノ以外のアーティストのバックダンサーを二年間断り続けたヒョジェヒョンに、
もしかしたら、ユノは、チャンミンには理解できないような、特別なことばを与えてしまったのかもしれない、と、思う。
ユノの熱情が甘美な呪いのように
人々の心をつかみ、
嬉々として、血のしたたるような心臓が無数に差し出されるのを、チャンミンはずっと、見てきたのだった。
店員に手をあげて、自分の追加の白ワインと、とりあえず冷たいお茶をサンユン氏用にオーダーして、彼の真横に腰を落ち着けるが、チャンミンのことなど目にはいらない様子で、目の前の二人を見つめている。
長いさらさらのロングヘアが隠して、ユイがいったいどんな表情でいるのかわからないが、隣のユノの腕にしがみつかないだけ、気が強い。
そして、サンユン氏は、ユイを無理やり連れて帰ろうという気持ちは、どこかにいってしまったのか、気が抜けたように、
所在無げに呆然と二人を見つめているのに、ユノとチャンミンが交互に話しかける
。
ユノは、外向きの笑顔で、先輩芸能人を遇する体だ。
今日は時間の押したグラビア撮影のあと、ここに直行したから、ユノはフルメイクをほとんどおとさないまま、服だけカジュアルなスウェットとジーンズに着替えて、
妙に唇が赤い。
ユノは帰ってきてから、オフでも、ほとんどベースメイクを、落とさない。
年を取った男の肌なんて、そのまんまじゃ見せられないと考えているらしく、あんまり気にするので、オレの通っている皮膚科を薦めたりしたのもかえってよくなかった。
ちゃんどらは肌、きれいだもんなあ。
いいなあ。
最近は、すぐさわってくるユノヒョンの指もさすがに顔はほとんど近づかない。
触れようとして、躊躇って、あの細い白い指が鼻をつまんで、にっとわらって、頭をくしゃくしゃっとして、離れていく。
例の、昔からのスタイリストに、ファンデーションは、肌負担の軽いものにしてあげてほしいとそっと、頼んだ。
分かってる、任せといて。