「あ、ヒョン、」
「うん、遅くなってごめん、」
「もう、心配しちゃいましたよ、一時間待ちました、」
「うん、ごめん、」
「ギュヒョニヒョン?」
「あ、今どこ?」
「どこ、て、チャンミニヒョンのマンションの近くの、」
「そっか、地下駐車場、これる?」
「はい、」
スホが最近買ったアルファロメオスパイダーのフルタイム四輪駆動を吹かしたいの我慢してチャンミンのマンションの地下駐車場に静静と車を入れてくれたのに手を挙げて、降りようとするスホを身ぶりで止めて、助手席に乗り込んで、
「とりあえず、出て。」
「はい? 」
「うん、作戦変更、ていうか、却下、
サプライズは無し。」
「え!」
新曲「モンスター」カムバックのプレッシャーに相当なストレスを抱えていたエクソのリーダーは、現実逃避したいんです何でもやりますやらせてください、と、イチゴの被り物やら、デカイパーティーグッズ関係やらを愛車の後部座席に詰め込んで(外してあったルーフを付け直して)、徹夜明けスタジオから直行してくれたのだが、
申し訳ないが、しょうがない。
いじけてるだろうから、仲間で慰めてやろうなんて、必要なかった。
あいつは立派なリア充だ。
心配いらない。
ていうか、
チャンミンの全力投球の「お仕置き」は延々続き、ユノヒョンが完全にウォークインクローゼットのなかの不振な物音を忘れてしまったところで、「このあとは風呂場で」とチャンミンが言い出して、ユノヒョンはなんやかやわめいていたが、しまいには特級兵士を引きずるようにして部屋を出ていって、二人がバスルームに引っ込んだタイミングで、俺はそっとマンションを抜け出すことができた。
最初こそ異様な状況に興奮したものの、チャンミンが俺を参戦させる気など毛頭ないこともわかり(ですよね)、
結局約1時間、なんのAVだよ、てやり取りを聞かされながら俺が理解したのは、
あいつの中で最優先は、
俺にこの関係がバレたのをユノヒョンに隠すことだったんだろう、ということだった。
ユノヒョンのエッチな声なんてホントは俺に聞かせたく無かったろうけど。
(多分。)
チャンミンはずっと、不安げで、不満げで、精一杯な感じで、
この関係がばれたなんてユノヒョンが知ったら、捨てられると思ってんじゃないかと想像してしまうほど、余裕がなかった。
もしかしたら、ほんとに、長いこと会えてなかったのかな、と思える会話もあったし、
どんな流れでこんな関係まで二人が至ったのかわからない、
ユノヒョンは、確かに愛してるだの、寂しかっただの、チャンミンみたいに、いい募りはしなかった。
でもさ、チャンミン。
俺だって、経験が豊富なわけじゃないけどさ。
こういうもんは、一方的に成り立つもんじゃない、てことくらいはわかる。
あの、大真面目で、がんこもんで、恋愛なんて仕事の二の次三の次のユノヒョンが、やってらんねえ、て言いださないで、お前のやりように付き合ってんのはさ、どう考えても、100歩譲っても、お前が特別好きなんだと思うよ、うん。
どう考えてもさ。
嫌だったらさ、あんなにさ。
(と、記憶を呼び起こしかけて、ヤバイヤバイと押し止め)
そこは、自信もったらいんじゃないの?
「ヒョン!」
スホがいつの間にか車を側道に止めて、俺の顔を覗き込んでいて、俺は白昼夢から目が覚めた気分だった。
「ミノヒョンから連絡来ましたけど」
どうすんですか、この後、
とカトクの画面を見せられると、ジョンヒョンのアニメーションスタンプがプンスカ怒った顔して動いてる、なんで、自分じゃないんだよ。
「あのー、チャンミンが、実家で引きとめられちゃって明日こっち帰ってこれないって言ってきてさあ」
「ああ!」
そうなんですか!!
「じゃあそう言ってくださいよ」
「うん」
「ミノヒョンにもそう言いますよ?」
とカトクにレスしている。
せっかくの休みに出てきたもらったのにごめんな、今日はチャンミン抜きで飲もう、ご馳走すっから、というと、
スホはいい奴で、
こいつだって結構稼いでるんだからと思うけど、わーい、って喜んでくれて、ミノヒョンも誘っていんですか、というから、いいよー、明日来るはずだったやつらみんな呼ぼうと返すと、素早くスホがカトクして、また画面を見せられると、今度はキボムがクルクル回転して喜んでるアニメーションで(本当に自分のグループが大好きなやつだ)、まあみんないい奴なんだ。
こないだの、あの店でもいいですか、て、スホがイグニッションキーを回してエンジンをふかす。
うんまだ時間はやいだろーけどなー、と返しながら、
とりあえず、iPhoneの電源を入れて、チャンミンとのカトクに、
邪魔して悪かった、
野球はまた今度
と書き込んだ。
既読がつかないか少し待ったが、
つかない。
まだ真っ最中なのか。
俺自身は、なんもいいことなかったっつーか、なんなら、性癖歪むほどの衝撃的体験しちゃったのに、今こんなに晴れやかな気分なのはなんなんだ。
うまくいくといいなあ、
チャンミン。
頑張れよ。
今夜の酒は美味いに違いない。
「うん、遅くなってごめん、」
「もう、心配しちゃいましたよ、一時間待ちました、」
「うん、ごめん、」
「ギュヒョニヒョン?」
「あ、今どこ?」
「どこ、て、チャンミニヒョンのマンションの近くの、」
「そっか、地下駐車場、これる?」
「はい、」
スホが最近買ったアルファロメオスパイダーのフルタイム四輪駆動を吹かしたいの我慢してチャンミンのマンションの地下駐車場に静静と車を入れてくれたのに手を挙げて、降りようとするスホを身ぶりで止めて、助手席に乗り込んで、
「とりあえず、出て。」
「はい? 」
「うん、作戦変更、ていうか、却下、
サプライズは無し。」
「え!」
新曲「モンスター」カムバックのプレッシャーに相当なストレスを抱えていたエクソのリーダーは、現実逃避したいんです何でもやりますやらせてください、と、イチゴの被り物やら、デカイパーティーグッズ関係やらを愛車の後部座席に詰め込んで(外してあったルーフを付け直して)、徹夜明けスタジオから直行してくれたのだが、
申し訳ないが、しょうがない。
いじけてるだろうから、仲間で慰めてやろうなんて、必要なかった。
あいつは立派なリア充だ。
心配いらない。
ていうか、
チャンミンの全力投球の「お仕置き」は延々続き、ユノヒョンが完全にウォークインクローゼットのなかの不振な物音を忘れてしまったところで、「このあとは風呂場で」とチャンミンが言い出して、ユノヒョンはなんやかやわめいていたが、しまいには特級兵士を引きずるようにして部屋を出ていって、二人がバスルームに引っ込んだタイミングで、俺はそっとマンションを抜け出すことができた。
最初こそ異様な状況に興奮したものの、チャンミンが俺を参戦させる気など毛頭ないこともわかり(ですよね)、
結局約1時間、なんのAVだよ、てやり取りを聞かされながら俺が理解したのは、
あいつの中で最優先は、
俺にこの関係がバレたのをユノヒョンに隠すことだったんだろう、ということだった。
ユノヒョンのエッチな声なんてホントは俺に聞かせたく無かったろうけど。
(多分。)
チャンミンはずっと、不安げで、不満げで、精一杯な感じで、
この関係がばれたなんてユノヒョンが知ったら、捨てられると思ってんじゃないかと想像してしまうほど、余裕がなかった。
もしかしたら、ほんとに、長いこと会えてなかったのかな、と思える会話もあったし、
どんな流れでこんな関係まで二人が至ったのかわからない、
ユノヒョンは、確かに愛してるだの、寂しかっただの、チャンミンみたいに、いい募りはしなかった。
でもさ、チャンミン。
俺だって、経験が豊富なわけじゃないけどさ。
こういうもんは、一方的に成り立つもんじゃない、てことくらいはわかる。
あの、大真面目で、がんこもんで、恋愛なんて仕事の二の次三の次のユノヒョンが、やってらんねえ、て言いださないで、お前のやりように付き合ってんのはさ、どう考えても、100歩譲っても、お前が特別好きなんだと思うよ、うん。
どう考えてもさ。
嫌だったらさ、あんなにさ。
(と、記憶を呼び起こしかけて、ヤバイヤバイと押し止め)
そこは、自信もったらいんじゃないの?
「ヒョン!」
スホがいつの間にか車を側道に止めて、俺の顔を覗き込んでいて、俺は白昼夢から目が覚めた気分だった。
「ミノヒョンから連絡来ましたけど」
どうすんですか、この後、
とカトクの画面を見せられると、ジョンヒョンのアニメーションスタンプがプンスカ怒った顔して動いてる、なんで、自分じゃないんだよ。
「あのー、チャンミンが、実家で引きとめられちゃって明日こっち帰ってこれないって言ってきてさあ」
「ああ!」
そうなんですか!!
「じゃあそう言ってくださいよ」
「うん」
「ミノヒョンにもそう言いますよ?」
とカトクにレスしている。
せっかくの休みに出てきたもらったのにごめんな、今日はチャンミン抜きで飲もう、ご馳走すっから、というと、
スホはいい奴で、
こいつだって結構稼いでるんだからと思うけど、わーい、って喜んでくれて、ミノヒョンも誘っていんですか、というから、いいよー、明日来るはずだったやつらみんな呼ぼうと返すと、素早くスホがカトクして、また画面を見せられると、今度はキボムがクルクル回転して喜んでるアニメーションで(本当に自分のグループが大好きなやつだ)、まあみんないい奴なんだ。
こないだの、あの店でもいいですか、て、スホがイグニッションキーを回してエンジンをふかす。
うんまだ時間はやいだろーけどなー、と返しながら、
とりあえず、iPhoneの電源を入れて、チャンミンとのカトクに、
邪魔して悪かった、
野球はまた今度
と書き込んだ。
既読がつかないか少し待ったが、
つかない。
まだ真っ最中なのか。
俺自身は、なんもいいことなかったっつーか、なんなら、性癖歪むほどの衝撃的体験しちゃったのに、今こんなに晴れやかな気分なのはなんなんだ。
うまくいくといいなあ、
チャンミン。
頑張れよ。
今夜の酒は美味いに違いない。