「そもそもさ」

「ん?」

「高校の時の英語の模擬試験がきっかけでさ」

「模試?」

「そ、長文読解があるじゃん」

「はいはい最後の方な」

「そこで出てきたんだ」

「何が?」

「捕鯨の問題」

「捕鯨?」

「イェス」

 

一口グビリとやる。

 

「捕鯨がどうしたのよ?」

 

待ちきれずに問う。

 

「詳しいことは忘れたんだけどさ」

「ふむ」

「捕鯨は悪い、野蛮だっていうじゃん」

「絶滅の危機だって」

「日本人はとんでもないって」

「そう言われてるねえ」

 

「でもちょっと待てよって」

「何が?」

「日本人の捕鯨は取った鯨を余すとこなく徹底的に活用して大事にしてきたんだと」

「ふむ」

「鯨の油だけ目当てで乱獲してたのはむしろ白人たちだったんだぞと」

「マジで?」

「っていうような内容だったんだわ」

「そうなの」

「覚えてないか?」

「覚えてるわけないじゃん、テストの問題なんて!もう30年以上前の話だぜ〜」

「報道とか、映画とか、イメージって怖いよな」

「確かに、知らなかったわ」