「あなたの右手出してみてくださる?」
「ん?」

オンナは唐突に言った。
俺の右手を見たいのだという。

「な、なんだよ?」
「いいじゃない?」

なんというか、気恥ずかしいというか
素直に出す気になれなかった。

「友だちから聞いたわ。
あなたの右手って強いんですってね」

友達がなにを言ったか知らないが
見世もんじゃねえぞって思った。

「何でも粉々にできるんでしょ?
私も粉々にして欲しいな」
「な、何言ってるんだよ!」

思わずポケットから出してしまった。