「お前のそのポロシャツ、何のマーク?」
「あ、これですか?」

無造作にして小奇麗な格好をしているなと。
ポロシャツもチノパンも
何処かパリっとしている。

「羊です」
「そうか、てっきり熊かと思った」
「はははは。熊谷だからですか?
羊です」
「ははは」

この笑顔にはやられるなと。

「今の世の中、お金が富のものさしですけど
その昔、欧州じゃ羊が財産のものさしでしたからね。
日本でいう米みたいに」
「あ、そうなの?」
「毛がとれて、ミルクがとれて、肉になって。
非常に価値のある生き物ですね。」
「なるほど」
「俺みたいな悩める子羊にはピッタリですよ」

またニッと笑う。

「そうなんだ。
何処のブランドなんだ?」
「ブルックスブラザーズです。
アメリカのブランドです」
「ふーん」

羊か。。
確かに自分は未年のおひつじ座だったと思いだした。