なぜ私はこれほどまでに
ディミトリに恋してしまったのだろう。
寝ても覚めても彼のことばかり。
夢現の私。
私の恋敵…いえ、お仲間でしたら
ぜひこのまま読んでいただけたら幸いです。
⚠︎今回は内容、役作り、演出に関する内容です。
一部ネタバレとなりますので
ネタバレNGの方は
ご観劇後に読んで頂けたらと思います。
ルスダンにとって
ディミトリはどういう存在だったのだろう。
そんなことを考えたくなる美しい台詞が
数多登場する今作。
ルスダンはきっと
いつも物悲しげなディミトリが
自分にだけ見せる優しい笑顔が大好きで
その笑顔が見られると訳もなく嬉しくて。
だから彼に付いて回っていた。
庭園のリラの木下で話をする時も。
無邪気に城下の市に誘うときも。
”彼の笑顔が見たい"
ルスダンの行動の原動力はきっとそこにあった。
その一方で、彼女は自分の気持ちと
向き合いすぎないようにしていたのではと思う。
幼心に閉じ込めた“好き”という気持ちに
真っ直ぐ向き合うと、
いずれ離れなければならない“その日”が
より怖くなってしまうから。
だから、恋心を大きくするのではなく
彼の笑顔を見ることだけに
一生懸命になっていたのではないかと思う。
舞空ルスダンには
そんな健気な無邪気さがあった。
ルスダンはおそらく子供の頃から
ディミトリの気持ちの変化に敏感だった。
ルスダン初登場の場面で、
リラの木下にいたディミトリが
「ただ好きなんだ、ここが…」と
意味深な発言をした時、ルスダンは
「何かあったの?」と心配そうに声をかける。
そして
「いつも誰かに見張られている気がするんだ」
と言うディミトリに
「人質なんかじゃない、あなたは私の家族だわ」と明るく励ますように声を掛ける。
あの会話は2人の繊細な関係性を
端的に表した場面だったと思う。
そんな彼女にとって
ディミトリが結婚を承諾してからの日々は
どんな思いだったのだろう。
結婚が決まったあと、
「密かに夢見ていたルスダンとの結婚の代償が、ギオルギ王の命を奪うことだなんて」
と葛藤するディミトリを見て
ルスダンは自分との結婚に彼が苦悩している
と思っていたのではないかと思う。
だが、本心を聞こうとしても
優しいディミトリは「心配しなくて良い」と
嘘を重ねるのではないか。
それで、本心を聞くに聞けないまま
結婚式当日を迎えたのではないだろうか。
そんな不安を抱えつつ恋心を打ち明けた初夜。
返ってきた言葉は
「愛している」
「初めて出会ったあの日から
君は僕の光になった」
ルスダンの心の愁いを知っている我々観客は
その言葉の重みをより感じてしまう。
生田先生は
観客がその世界に入り込むための
アシストを完璧に行ってくれる。
またこの歌詞を紡ぐ礼さんの声色には
全てを委ねたくなる包容力がある。
たとえ2階の最後列に座っていても。
あまりにもロマンチックで
現実ではなかなか聞けない愛の言葉を
無条件に受け入れ
心を震わせることが出来るのは
生田先生の説得力ある演出と
礼さんの甘く優しい歌声の賜物だ。
もう、あの瞬間
私はルスダンになって
ディミトリの言葉に涙していた。
そして、ディミトリのことを
心から好きだと思った。
(イタい観客であることは承知している。)
ことごとく、
並木先生の原作の素晴らしさ
生田先生の感情移入型の演出
礼さん舞空さんの芝居力には
拍手喝采である。
作品や役作りに関する解釈は
様々だと思います。
私の解釈に共感して楽しんで
読んで頂ける方がいたらとても光栄です。