箱入り娘 | ☆☆moeゴコロ☆☆

箱入り娘

うちの家は、特別お金持ちな家ではない。
娘2人のあたし達にお金をかけてくれた分、
昔より生活資金は少ないかもしれない。
でも、とても幸せである。

小さい頃から、たくさんのことをしてくれた両親に、
何とか早くお返しがしたくて、
あたしは早く働こうと短大へ進んだ。
(お勉強嫌いだしね)

お嬢様学校だったせいもあり、
特別苦労していたワケじゃないけれど、
上を見れば限りなく上がいるワケで、
どこかの家庭と比べては、
「うちはどうしてこうなんだろう?」なんて、
稚拙なことをよく思っていた。

ママと2人っきりのある夜、
パパの箪笥の引き出しから手紙を出してきた。
「これは、ママが手術する前に、家に置いてきたものなの。
もうお家に帰ってこれないと思ってたから。
でも、パパがすぐにしまっちゃったみたいだから、
あなたは見ていないと思う」と、
あたし宛の手紙を手渡された。

「もえは、お姉ちゃんよりも大事に大事に育ててきたの。
パパの愛情の80%は、全部もえにいったと思うのよ。
だから、あなたが一番心配なのよ、ママは。」
手紙には『自分を大切にしなさい。そして、
あなたを一番に大切にしてくれる人を見つけなさい』と
そう書かれていた。

「もえを何より大切にしてくれる人と一緒になって欲しい」
そう、ママから言われた。
あたしは、自分で思っていた以上に『箱入り娘』なのだ。
そんな親の気持ちも知らないで、
あたしは自分を大切にしていなかったように思う。

今も自分を大切にしているか、自信は持てない。
今の彼が、何よりあたしを大切にしてくれているかも、
自信がないのである。

本当の親孝行は、
あたし自身が幸せであることなんだと、
そう感じた。
そして、親の愛が計り知れないほど深いことも。
大変なことがたくさんあった分、
何も気付かず、感じないで通り過ぎてしまいそうなことに、
立ち止まって痛いほど、感じることが出来てよかった。

あたしがやらなくちゃいけないことは、
あたしをパパとママが感じる以上に大切だと思ってくれる人を
早く見つけることなのかもしれない。

そんな風に思いながら眠った翌朝、
「昨日、ママ、手紙渡したよね?
うっすらしか覚えてないんだけど、何話してた?」と言われた・・・。
寝る前に、睡眠薬を服用する為、覚えていないらしい。
ま、いっか。