ある日近所にあった古い家が壊されていた。
夜にそこを通る時はたまらなく怖いのに、無くなるとなんだか物足りなく、悲しい。
少しじっとその場で立って見ていたら、取り壊し作業をしてたおじさんに手招きされた。
素直におじさんの元にかけていくと、おじさんはこう言った。
『これが古い家を壊した時の匂いだよ。古い木が、ここに住んでた人たちの生活が、時間が、壊されていく匂いだよ。よく覚えておきなさい。』
私は迷うことなく全力で頷いた。それが私に出来る精一杯のことだった。
ただ、おじさん、わたしね、私、風邪ひいてるの。
おじさんが覚えときなさいと言った匂いは全くわからない。
だけど絶対に忘れないよ。
おじさんの悲しい顔だけは絶対に忘れない。
夜にそこを通る時はたまらなく怖いのに、無くなるとなんだか物足りなく、悲しい。
少しじっとその場で立って見ていたら、取り壊し作業をしてたおじさんに手招きされた。
素直におじさんの元にかけていくと、おじさんはこう言った。
『これが古い家を壊した時の匂いだよ。古い木が、ここに住んでた人たちの生活が、時間が、壊されていく匂いだよ。よく覚えておきなさい。』
私は迷うことなく全力で頷いた。それが私に出来る精一杯のことだった。
ただ、おじさん、わたしね、私、風邪ひいてるの。
おじさんが覚えときなさいと言った匂いは全くわからない。
だけど絶対に忘れないよ。
おじさんの悲しい顔だけは絶対に忘れない。
