バラナシ最終日。


朝、今日こそはと思って起きると、
ヨガの先生もちゃんと時間通りに来てくれていた。


当初はヨガをメインにしてインドに来た私。

結局ヨガが出来たのは最後の朝だけだった。



たぶん、それが旅なんだと思う。

うん、きっとそうだ。




朝日が昇るガンジス川に向かって、
精神を落ち着かせる。

朝の空気をいっぱいに吸い込んで、
体を伸ばす。



長い旅だった。



でも、でも、でも、インドに来れて良かった。

本当に良かった。





チェックアウトをしにロビーに行くと、
小さな紙切れを渡された。


「昨日オーストリア人の子が来て、これを渡してきたよ」


ロニーだ。


昨日の夜、ご飯に行く約束をしていて待ち合わせ場所と時間を決めていたんだけど、
私が道に迷って予定よりかなり遅れてしまった。


携帯があればいいのに、と何回も思ったけれど、
着いた時には、案の定そこにはもう彼の姿は無かった。



紙を開くと一言。


「All the best for you」


下にメールアドレスとオーストリアの携帯番号。




昨日あれから、ロニーはわざわざ私のホテルまで来てくれたんだ。





14年連れ添った奥さんに新しい彼氏が出来たことがわかり、
離婚話の最中にインドに来た彼。


相当辛かったらしいが、1カ月インドにいるうちに
少しずつ前向きになれたのだそう。


彼がバラーナスを去るのは昨日の夜だった。





ロニーは言った。

人との繋がりは、時に脆く、時に強い。


だからこそ大切に出来るんだ。

だからこそ大切にしたいんだ。



全ての出会いは未来に繋がっている。






するとヒロミさんが起きてきて、ロビーまで降りて来てくれた。


「萌ちゃん。
私、やっぱり一回占いの場所戻ってみようかな。
萌ちゃんに会って、話して、
やっぱり人生って一度きりだって思えた。」


私はなんだかおかしくて、嬉しくて、笑った。

ひろみさんもそんな私を見て笑った。









日本はもうすぐそこまで来ていた。