すると庵野監督はどう考えるだろうか。むしろロボットに乗らない事が「現実に立ち向かう事」なのではなかろうかと思うのではないだろうか。オタクたちの夢を破綻させ、現実に目を開かせる。そこでは否応なしに「モテない冴えない気持ち悪い自分」に直面させられるかもしれない。苦いばかりの現実世界に放り出される事になるかもしれない。しかし自分自身が、オタクたちが変わるためにはこの良く出来た「ロボットアニメ」を破壊しなければいけない…。そう思ったのかもしれない。テレビシリーズの最終回はどのような話だったろうか。ほとんど気が狂ったかのような絶望と憂鬱と苦悩の中で微かな光に手を伸ばす。引きこもり、ゼロ化された世界の中から厳しくもリアルな「人間」を「現実」を「社会」を求める。そして勇気を持って「現実と向きあって生きる事」を決断する。すると書き割りの「ロボットアニメの世界」が崩落し、「オタクの夢の世界」から解き放たれたキャラクターたちから「おめでとう!」と祝福される。シンジ君の新しい夢、光り輝く「現実の人生」の門出を祝して…。