そのようなものが感じられる。「自分は、オタクは、このままでいいのか?」という激しい疑問。それは監督自身の現実生活における報われない悲しい恋愛体験が背景にあったのかもしれない。しかしどんなに現実が苦しくとも「甘いオタクの夢」の中にいたままでいいのであろうか?変わらなければいけないのではないか?いかに恐ろしくとも厳しくとも残酷であろうとも「逃げちゃだめだ!!」そう思ったのではないのだろうか。一歩踏み出さなければ、壁をぶち破らなければ「本当の充実」には永久に辿り着けないのではないか?そう考えたのかもしれない。すると「エヴァントゲリオン」内の碇シンジ君の態度はいささか複雑なものとなる。シンジ君はロボットに乗りって悪の組織と戦う事を強要される。物語の中ではロボットに乗る事が社会参加する事であり、社会に現実に立ち向かう行動なのである。そこでシンジ君は「逃げちゃダメだ!」と自身を叱咤激励する。物語の中では「ロボットに乗る事」が「大人になる事」なのだ。しかしこの事態を外から眺めればそれは「オタクの喜ぶロボットアニメのストーリーに乗っかる事」に過ぎない。「オタクの甘い夢の持続に荷担する行為」に過ぎないのだ。