宇多田ヒカルの歌詞に「誰かの願いが叶う頃あの子が泣いている」というのがあったと思う。「美しさは罪」という言葉もある。一組の美男美女カップルがいるとして幸せの絶頂だとする。その陰では泣いている人がたくさんいるかもしれない。失恋というのはつらいものである。そのせいで死ぬ人もいる。カップルがたくさんいる風景。よくある光景だが彼らの足元は屍々累々の死体の山かもしれない。おいしそうな料理の山も生物の惨殺死体の山という一面がある。生き物は殺すことで生きている。精子の受精競争も受験戦争も経済的繁栄もありとあらゆる勝利が誰かの死、敗北の上に成り立っているともいえる。チャーリー・シーンがアンビリーバボーで「俺は瞬間瞬間勝っている」と言っていたがそれは瞬間瞬間負かしているという事だ。「勝ちも負けもない。自分の好きな事をやっているだけ」と言っても、その軌跡が誰かを深く傷つけているかもしれない。生きているということは瞬間瞬間何かを殺し、何かから場所や物を奪っていることかもしれない。生きること、行動すること、夢を叶えることの暗い側面。幸せの絶頂で恋人と見つめ合う時足元には誰かの死体が、絶望の叫びが、悲しみの涙があるのかもしれない。