映画『インセプション』を観た。とてもおもしろかった。レンタルで観た。準新作だ。夢が多層構造になっているという話。夢の中に入り込み情報を盗んだり精神に影響を与えて行動を操る。記憶や観念の『植え付け』、それが『インセプション』だ。夢の中で死ぬと目が覚めて現実の世界に戻る。目が覚めたのがみんなが入り込んでいる夢の世界の夢を見ている本人だとその夢の世界は崩れ去る。夢の中で夢を見る。人の夢の中に入り込む。その夢の中でまた夢を…。その世界での息詰まる攻防戦。思い出したのが押井守の『うる星やつら・ビューティフルドリーマー』だ。これも夢の中の話。しかし「現実の世界」が丸ごと夢の世界に成り代わりいつの間にか「現実の世界」は影も形も無くなり、知らぬ間に理不尽極まりない夢の世界が現実に成り代わっている。夢の世界は現実の顔をしてすまし顔だ。この映画のラスト近くにこの「夢の世界」からの脱出劇のようなものが繰り広げられる。そこでハンマーで殴られたり失神したりが次の夢の世界への移行の契機になってていたと思うのだが、それは「覚醒の夢」による「次の夢」への移行なのか、「入眠の夢」による「次の夢」への移行なのか…。それはどちらでもいいのか…。『インセプション』では「入眠」に「入眠」を重ねて二層目三層目の夢に入って行き、「覚醒」に「覚醒」を重ねて夢から醒めて「現実」へと近付いて行く。『ビューティフルドリーマー』での「夢の世界の移行」は覚醒に覚醒を重ねて現実に近付いて行くという訳でも入眠に入眠を重ねて深層の夢の世界へ降りて行くという訳でもなさそうだ。その移行に脈絡はなく、またそのひとつひとつの「夢の世界」はそのまま「真実の現実」であり「真実の歴史」であり「唯一無二の世界」である。それが「夢のように」断片的に一貫性を欠いて連結している。何らかの「ショック」が次の夢への契機になっていたような気がするのでそれは「覚醒の連続」だったのであろうか。しかし「ショック」により目が覚めることもあるが、「ショック」により失神状態になり夢を見ることもありそうだ。そしてそれが夢の中だったら。「ショック」や「死」が「覚醒」を保証するとも限らない。しかし「それまでの夢」が途切れ、「次の夢」に繋がるということか。しかし確かに夢の中での「ショック」や「死」が「覚醒」に繋がることは多そうだ。しかし「覚醒の夢」というものもあるし、「夢の終わり」が「ショック」や「死」とも限らない。