音楽は好きだろうか。曲があったら、歌詞とメロディー、どちらをよく見ているだろうか。





私はどちらかというと歌詞が良い曲が好きだ。

メロディー派閥のあなたたちに送る、歌詞の魅力がスゴい曲を紹介しよう‎ᯓ★

歌詞が好きだなと思う曲はいくつがあるが、今回はそんな中でも特に気に入っているフレーズを紹介したい。





Tempalayの『あびばのんのん』

という曲を知っているだろうか。

ドラマ『サ道』(2021)のエンディング曲であり、浮遊感のあるメロディーにのせた歌詞が特徴的な曲だ。歌詞の一部を抜粋する。





眩ゆしあちこち 見惚れちゃってうっとり

夏のせいなんて思うけど
浴衣に簪 嬉しくってしょんぼり
だって美しすぎるから





出だしがこの歌詞なのである。

とても好きな歌詞だ。

どこが好きかというと、嬉しくってしょんぼりという軽妙な言葉選び。




嬉しくてしょんぼりなんて言葉の組み合わせを、思いつくだろうか。天才だ。どんな気持ちなんだろう。

個人的な見解は、キュートアグレッションみたいなものなんじゃないかと思っている。

可愛すぎて握りつぶしたいとか、食べちゃいたいとか攻撃的な感情を抱くあれだ。その逆バージョン。




私は怒りと悲しみの感情は表裏一体であると思っている。

例えば、マイナス、プラスな意味を問わず、誰かになにかされた時。

防衛反応が起こり悲しい気分になったり、黙ってしまったり、泣いてしまったりする人。

攻撃的な感情が先行して怒ったり、大声を出したり、喜びを全身であらわにする人の2種類の人間がこの世にはいる。簡単に言うとこの世の人間は全て、猫系男子と犬系男子に分けられるのだ。





この曲の主観の視点の人物は、きっと前者の人間だ。

感情が処理落ちするほど大きくなったとき、防衛反応的にしょんぼりした気持ちになったのではないか。

夏のぶわっとした溶けるような暑さの中で、浴衣姿の美しい“あなた”が涼しげに存在するのを見て、どこか現世から浮いてしまったような、遠くに行ってしまったような悲しさを感じて胸が苦しくなってしまったのではないだろうか。





そんな切なくて曖昧な情景を、嬉しくってしょんぼりという小学生でも分かる言葉の組み合わせで表しているのに、意外にも受け手に深く伝わってくる、

優しくてかなりテクい歌詞なのである。





私はこの歌詞の言葉の組み合わせかたに結構深く感動した。

いつもだったら誰かにすぐ共有したり、聴いて欲しい!という気持ちになることがある。しかしこの曲は誰かに教えたり、口ずさんだりするよりとにかく自分の内側にしまい込みたい気持ちになった。





いいなと思ったものを、繰り返し見聴きしたり、軽く誰かに共有したりするのもひとつの楽しみ方だが

しかし、最初に触れた感動体験は、濃いものだ。





私は、いいと思ったものを何度も消費してしまうと、空気に触れたワインのように少しずつ風味が薄れてしまいにはただの水になってしまうのでは無いかと思う。


  



だから好きなものに出会った時、好きになりそうなものに出会った時、これ以上深く知りたくないっ!と思う。

そして何度も見るのが怖くなってしまいYouTubeなとで気軽に見れたとしても避けてしまうフシがある。みなさんはどうだろうか。

もし、私と同じように“好き避け”しているものがあればこっそり教えてほしい。