先日ここで「『私の名前は…』を観てきた」と書いたところ、『アニエス』などの言葉で検索してこちらにたどり着いた方々がいたようです。
なので、これは感想ちゃんと書かないとなーと思って、ネタバレ込みの感想を書こうと思います。
でも、感想というか、本当に感じたことを書いただけになりそうです。
備忘録のような。
あらすじ。
セリーヌは父親から虐待されている12歳の少女です。そのことを誰にも打ち明けられないでいるところに、臨海学校でバス運転手のピーターと出会います。フランス人のセリーヌとスコットランド人のピーターとは、言葉は十分には通じないものの、楽しい旅を始めますが。。。
ここまでは検索すれば出てくるようなことなので、写真の後、ネタバレです。
一応一つの記事に2つ以上の自分の写真を入れることを自分の中で決めているので、お目汚し失礼します。
セリーヌ(ルー=レリア・デュメールリアック)について。
彼女を語らなければ、何をおいても彼女を語らなければと思っていました!
パンフレットによると、セリーヌというのが、彼女に初めてついた役名だそうです。
脇役としては映画出演があったってことかな?
それにしても、彼女はもう子役というよりは女優だな、と思ってしまいました。
初め見たときは、あー、それっぽい、不幸そうな顔した女の子で、いいなーって思いました。
私、薄幸そうな顔をした女の子好きなんですよね笑
でも、幸薄そうな女の子って魅力的だと思いませんか?
ビートルジュースのウィノナ・ライダーだってちょっと幸薄そうな顔しているし、それでゴシックに人気が出て。
スウィーニー・トッドのジョアンナ・バーカー役のジェイン・ワイズナーとか。
って今調べたらジェイン・ワイズナーめっちゃセクシーなおねえさんだね!
映画のときは薄幸の美少女って感じだったけど。
で、話を戻すと、セリーヌがいかにも不幸そうで、あと大人っぽい顔つきをしていたから、あれ?本当に12歳?でも欧米人は大人っぽいからなーとか考えてました。
でもその12歳の女の子がバービーのようなお人形に話しかけているのに違和感を感じました。
12歳ってもうお人形遊びからは卒業してるころじゃないのかな。。。って。
更に、父をなだめつつ、妹たちの面倒をみてる顔は、本当に母親みたいで、もう女性でした。
おそらく、このときのセリーヌは、すごく不安定な女性だったんだと思う。
でも、その後の表情や動作の変化がすごい。
例えば、カフェに寄ったシーン。
ピーターがカフェの女性と英語で話しているのを、嫉妬するような表情で見て、「私のことが邪魔なんだ!」と紙に書いたんです。
なんか、彼女は子供じゃなくて女性で、女になってしまっているんだなあと思いました。
このときは、まだ大人。
でも、ピーターが人形を取り上げたあたりか、「わたしの名前は、ん」と言ったあとぐらいから、どんどん、子供になっていくんです。
シーンの順番がうろ覚えなんですが、スーパーを見つけて恥ずかしがりもせずに「パンツがほしい」と言ったり。
ちょっと高い段の上に登ってみたり。
高いところにある旗を欲しがったり。
ピーターの手を引っ張ってはしゃぐ彼女は、ただの12歳の少女でした。
子供のための人形を取り上げることが、彼女を子供に戻した、というのは変な話ですが、おそらくあの人形が彼女の中でのセリーヌだったんだと思います。
そして、「わたしの名前は、ん」と言ったことで、『セリーヌ』という名前から解放されて、ただの少女になれたんじゃないかな、と思います。
その笑顔がかわいくてかわいくて。
悲劇的な結末しかないことが悲しくてしょうがなかったです。
その後、警察や他の大人になんと聞かれようと、頑なに「わたしの名前は、ん」と答える彼女は、子供でも大人でもなかったけど、最初の曖昧な顔はしていなかったと思います。
家に帰るときに、ダサいピンクのジャージを着せられたセリーヌは何を考えていたんだろう、とずっと考えてしまいます。
でも、そのときの彼女は幸福ではないにしろ、なにか強いものを持った人のように見えました。
一番最後の大人になったセリーヌの独白シーンは、なんだかすごく、孤独でした。
でも、それだけではなくて、最初の曖昧な大人ではなくて、はっきりとした大人になったことを感じさせられました。
とりあえず、名前の覚えにくいルー=レリア・デュメールリアックちゃん(さん)は今後も注目したいなあと思います。
ピーター(ダグラス・ゴードン)について
パンフレットを読んで、彼が役者ではないことにびっくり。
でも芸術家を多く排出しているグラスゴー出身の芸術家なんですね。
ピーターの行動についてのわたしなりの解釈なんですが、最初のピーターは、言葉がほとんど通じない土地で、家族もなくし、一人きりの旅で、孤独に耐えきれない、といった印象でした。
そこに偶然セリーヌがトラックに乗ってきて、どうすればいいかわからなくなって。
でもたぶん、彼のセリーヌの扱い方?が決まったシーンは、セリーヌに名前を聞いたシーンだと思います。
「わたしの名前は、ん」とはっきり答える彼女の意思を読み取り、彼女を旅の仲間にすることを決めたんだと思います。
社会的な判断ではなく、彼女を守ろうという意思をもって。
その直前のスーパーでのシーンはお気に入りです。
女児のパンツのサイズがわからなくて、おばあちゃんに助けてもらったり、ワゴンに売ってあったワンピースをなんとなく買ってみたり。
この後テレビでセリーヌの失踪が事件として扱われているのを見るのですが、ピーターがワンピースを買ったのは、セリーヌの服装を隠すためではなく、ただプレゼントとしてワンピースをあげたくなったんだと、信じています。
あ、これあの子に似合いそう、みたいな笑
誘拐犯として、暴行犯として捕まったピーターはどんな気持ちだったんでしょう。
セリーヌの行動、セリーヌとの旅を思い出して、家族がいない自分を考えて。
やっぱり、セリーヌの生活を守ろうと思って、自殺を選んだんじゃないかなと思います。
それが正解かどうかはわからないんですが。
印象的なシーン
上記2人の俳優に関して、様々な印象的なシーンを挙げましたが、この映画の中で一番対照的な2つのシーンは、キャンプのシーンとピーターが尋問されるシーンだと思います。
キャンプのシーンでは、言葉が十分に通じる人々がいないんですよね。
セリーヌ、ピーター、イタリア人の哲学者、舞踏家?の日本人の男女。
あ、日本人の男女はお互い日本語話せるだろうけど、話してるシーンはなかったと思います笑
でもなんだか、それらが一つの仲間達のような感じで、まとまって、通じ合っているような感じがあるんです。
一方ピーターの尋問のシーンでは、ピーターには通訳がついて、大人しかいない。
話せば通じるはずなのに、何も伝えられない。
通じ合ってた幸福感と、何も伝えられない孤独感の対比が悲しくなりました。
映像について
最初の方は正直、なんだこれ、と思いました笑
下手というか、独特すぎるというか、ああ、これただのアーティスティックな映画なのかな、とか思いました。
あと、すごく不安になりました。
セリーヌが人形に話しかけるシーンなどで、ガクガクフィルムが止まるんです。
パンフレットを読んだら、これはアニエスが考えた手法で、わざとフィルムを飛ばしていたとわかりました。
でも見ているときは、あれ、故障なの?演出なの?って困惑しました。
そしてその困惑が、すごく不安にさせられました。
後は、二階と虐待のイメージに繋がる階段。
いつも階段が定点でまっすぐ映されていたんですが、そうすると階段の上の方が暗くて、怖い。
でもそれらが、わざとというか演出で、困惑させるのにたぶん成功していたんだと思います。
映像技術については詳しくないので語れませんが、セリーヌが明るくなってからのシーンは、全てがきれいで、だからこそその後待ち受ける悲劇が悲しかったです。
その他いろいろ
パンフレットを読んで、アニエスが『スプリング・ブレーカーズ』にも関わっていたと知って驚きました。
あのギャング文化っていうのはあんまりピンとこなかったというか。。。
でも、青春っていうことなんでしょうか。
個人的には『バージン・スーサイズ』を彷彿とさせる映画だなと思いました。
なんとなく、儚くて、でも現実的で。
純粋な人が犠牲になる感じが、悲しいです。
音楽については、ロックが流れてるシーンはいいとして、オペラについてはん?っておもってしまいました。
なぜオペラ?
パンフレットによると、オペラはアニエスにとって慣れ親しんだ音楽なんだそうです。
私はあまりオペラは聞かないので、そのアニエスの意図が理解できなかったんだと思います。
ソニックユースがロックミュージックを担当しているので、ソニックユースは今度聞いてみたいな、と思っています。
あと謎だったのは、白塗りの日本人男女。
パンフレットによれば、白塗りの日本人男女の踊りを見るシーンは、この映画の重要なシーンの一つだそうで。
それを見て更によくわからなくなってしまったんですが、白塗りの2人のダンス?を見てるセリーヌとピーターの楽しそうな顔がかわいかったので、それでいいのかなーと思っています。
本当は日本人男女の舞踏は「破滅の後の苦しみと生きる力を非常に個人的な形で表現している」そうなんですが、どちらかというと2人で一緒に未知の世界を見る、冒険のような意味合いが強いのかなと思いました。
冒険仲間というか。
あと個人的に好きなシーンは、ピーターがセリーヌにショートブレッドをあげるシーン。
スコットランドに行ってたのでショートブレッドが懐かしかっただけです笑
最初の写真は、パンフレット表紙のセリーヌをイメージして撮りました。
自撮り棒使っているので、実は見切れてる左手はぷるぷるしています。
この映画では赤と青の色を濃く使い、トリコロールを作っている、とのことでしたので、私も手持ちの服で私なりのトリコロール!
もちろんカーディガンはアニエスベーです。
パンフレットが赤い封筒に入っていて、アニエスから手紙が届いたようでちょっと嬉しかったです笑
長々と書いて申し訳ありませんでした。
とりあえず、私はこの映画、おすすめです!
他の解釈や、おすすめの映画などあったら是非教えてください!
また、たまーに映画などの感想も書きたいとおもいます!


