特集(4)~アライヴ・アゲイン
そしてシングル初の全米No.1をもたらす「if you leave me now(愛ある別れ)」を収録した「10」へ。あまりの美しさ優しさに誰もが酔う。この曲が良くも悪くもシカゴというバンドを狂わせるのだが・・・・。アルバムはこれまでの路線をさらに洗練させ、ホーンサイド、ポップサイド、ブルースサイドが溶け合った文句なしの1枚となった。「you are on my mind」「another rainy day in new york city」「mama mama」「hope for love」「once or twice」そのどれもが素晴らしい。続く「11」も同様に前作の路線は引き継がれた。「take me back to chicago」ではルーファスのチャカ・カーンが参加し、シカゴに新たな息吹を吹き込んだ名曲となる。しかし、この作品が不幸にもテリー・キャス最期の作品になろうとは。キャスの歌声でラストを飾る名曲「little one」がなんとも運命的だ。本来、このバンドの情熱源はテリー・キャスその人に他ならない。このことはリスナー側にはあまり認知されていないように思う。セテラが外側のアイドルならば、キャスはバンド内でのアイドルであった。彼の不慮の事故死はしばらくシカゴを混迷させた。
そして、その死を乗り越えた12枚目「ホット・ストリート」では初めてアルバムタイトルが数字ではなくなり、さらに初めてジャケットにメンバーの写真が並べられた。キャスの代わりにダニー・デイカス(g,vo)を向い入れ、プロデューサーはゲルシオからフィル・ラモーンへ。まさに心機一転、新たなスタートだった。ディスコ風オープニングからとにかくポップでとても明るい作品だ。ダニーのギターは切れ味がよく時代に合った洗練されたものだった。「take a chance」でその腕前はよくわかるし、どの曲もメンバーすべてが輝いているようにみえた。ある意味涙なしでは聴けないアルバムだ。
「ホット・ストリート」の好セールスで、このまま突っ走るのかと思われたが、ジャケットに再びシカゴロゴと数字をアルバムタイトルに冠した「13」は賛否両論の問題作となった。時代は70年代の終わり。ディスコブームの中、シカゴなりの答えを出した9分もの大作「street player」は、初期の音からは全く想像つかないシカゴ流ディスコ。個人的には素晴らしい出来と思うのだがセールス面では全く振るわず、早くもダニー・デイカスは脱退する。流れを変えようとトム・ダウトをプロデューサーに迎えた「14」も個々の良質なサウンドがバンドに溶け合わず、まるでソロの寄せ集め的な内容に。ラム作のスリリングな「manipulation」、ラムとセラフィン、セテラの共作「thunder and lightning」が唯一の救いか!?明らかにセテラとラムの方向性の違いが顕著にみられる。こうして長いコロンビア時代のシカゴは幕を閉じるのであった。