モノづくりの現場に人を配置することも大切だが、それ以上に新しい顧客を開拓することが重要なのだ。
だが、私の話を聴きに来た経営者たちはみな二の足を踏む。
彼らが必ず口にするのが、
「営業を置いたら本当に売れるようになるのか?」
である。
「はなからそんな意味のない心配をするな」
と私は言い返している。
江戸の商人が新しい店を出す時は、その店に3年間米を送り続けてきたという。
商売ではそれが普通だ。
つまり、最初の3年間は損をする覚悟をしなければいけない。
営業も同じである。
営業で雇っても、最初はその会社の商品や取引先を知らないのだから、すぐに売れるわけがない。
一人前に育つには少なくとも三年はかかるだろう。
売れない3年の間は、彼らにはタダ飯を食わせてやる覚悟をしなければいけない。
「だいたい、あんたはペエペエの時は、どれだけ売ったんや・・・」
私は経営者にそう投げかけてみる。
「初めてあんたが今の会社に入ったころは、どれだけ売ったんや?自分のことを考えてみろや」
それを、雇ったからにはすぐに売れとか、売れないと能力がないとか、自分はどれだけスーパーマンなのかと聞きたい。
3年間、じっくり教えて、営業の柱となる人間を育てていかないから、いつまでたっても会社は伸びないのだ。
これをいちばんよく知っていたのは、ダイエーをつくった中内功だった。
彼はあたらしく1店舗目を出したとき、その店はまだ自分で飯を食えないことを知っていたので、本店で支えた。
2店舗目を出す時は、本店と1店舗目で支えた。
5店舗目を出したら、1と2,3,4店舗で支えた。
そうすれば、支えるほうもだんだん楽になる。
営業マンを雇うのも同じだ。
最初はひとりを1対1で支える。
3年間はタダで飯を食わせなくちゃいけないから、かなりしんどいだろう。
でも人が増えてくればくるほど、支える人数が増すので楽になる。
取引先も開拓されるから、売り上げも増えてくる。
ところが、すぐに結果を求めたがる経営者ほど、ここで失敗する。
山田昭男
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働く者として、心を養う記事となります。
根気強く、失敗をしても、また挑戦。
仕事を覚えて、一人前と周りから認められるようになるまで、きちんと努力と時間を重ねる。
育てる側になれば、その何倍も根気強く、見ていかなければならない。
社会人として、覚えておきたいですね。