リンの値が高く、治療薬であるカルタンを余分に服用すればカルシウム値が高くなり、ピートルを余分に服用すれば血清フェリチンの値が高くなり、アンビバレントだいうことを訴えると、院長先生から来年に協和キリンから 新しい作用機序のリンの薬が発売になるので、それを使ってみようと言われた。
回診についてた師長さんから新しい薬は『フォゼベル』という名前だということを教えてもらった。
今までの高リン血症の治療薬は、食事の中のリンを吸着し、便と一緒に排泄するものだったが、フォゼベルはまったく新しい作用機序の薬で、詳しくはネットで調べてくださいと言われた。
フォゼベルは、国内初のナトリウム/プロトン交換輸送体3(NHE3)を阻害する薬だということが分かったが、これだけではチンプンカンプン。
食物中のリン(リン酸塩)は、小腸の腸管上皮細胞のすき間(タイトジャンクションという)である『傍細胞経路』から吸収される。
結構上手く描けたと自画自賛。(汗)
タイトジャンクションには、クローディンというタンパク質がタイトジャンクションを閉じたり開けたりするジッパーみたいな役割を担っている。
また、腸管上皮細胞には、ナトリウムイオン(Na+)と水素イオン(H+)を交換しているナトリウムイオン/プロトン交換輸送体3(NHE3)があり、Na+とH+の吸収と排泄を調整している。
NHE3によって、H+が腸管内に排泄されることで、腸管上皮細胞内のpHが中性に保たれている。このとき、クローディンが変化しないので、タイトジャンクションが開いていて、リン酸塩を血管内に取り込むことになる。
もう一度言いますが、フォゼベルは、腸管上皮細胞のNHE3を阻害する薬です。
NHE3が阻害されると、Na+の吸収とH+の排泄が抑えられる。その結果、腸管上皮細胞内のpHが酸性になり、クローディンが変化して、タイトジャンクションを閉じてしまい、リン酸塩が血管内に取り込めなくなる。
話を聞いてると凄く良さげな薬だと思うけど、どうなんだろう?