抗体カクテル療法に用いるロナプリーブは、『入院または死亡リスクを70%減少させる』と言われている。
ところが、いろいろな人の話を聞いていると、この70%減少というのを、『100人の軽症者がいると70人が入院や死亡しない』というふうにとらえているようだ。
うちの娘もそうだった。
これって、以前にワクチンの有効性についての説明とまったく同じで、ちょっと勘違いしている。
報道でこのあたりをきちんと説明していないのがそもそもの原因かも。
ロナプリーブの製造元の中外製薬の第Ⅲ相臨床試験のデータでは、ロナプリーブを投与した群では736人投与して7人が入院・死亡していて、一方ロナプリーブを投与していないプラセボ(偽薬)群では、748人のうち24人が入院・死亡した。
すなわち、ロナプリーブを投与したことによって、入院・死亡した24人が7人に減ったということで、(24-7)/24=70%減少したということになる。
逆に言えば、ロナプリーブを投与しなくても、(748-24)=724人は入院も死亡もしなかったということである。
要するに、724/748=97%であるので、100人のうち97人はロナプリーブを投与しなくても重症化しなかったことになる。
なんとなく、抗体カクテル療法(ロナプリーブ)が、夢の治療法であるかのように言われているが、決してそんなことではないことが分かる。