今回の美術展は、吉田博の没後70年の節目にあたり開催された。
全国を巡回展示されていて、パラミタミュージアムの前は東京都美術館で開催され、来週からは、静岡市美術館で開催される。
吉田博は世界各国を旅をして、雄大な自然をとらえた木版画は、国外で早くから紹介され、今では国内外で高い人気を誇る。
『帆船』シリーズでは、同じ版木を使って、摺色を替えることで刻々と変化する光を表現した。
下は『瀬戸内海集 帆船』で、左上から右に、『朝』『午前』、左下から右に、『午後』『霧』『夕』『夜』である。
浮世絵では摺数は10回程度であったが、下の『陽明門』では、なんと96回も色を重ねたそうだ。
ほぼすべての版画には『自摺』の文字が入っていたので、画家自らが摺ったのかと学芸員に聞いたところ、通常は彫り師、摺り師と分業制が確立しているが、吉田博の場合は、版元として彫りにも摺りにも立ち会ったため、あえて自摺の文字を入れたそうである。
それだけ、自信があったということのようである。

