予定がいっぱいだったけど、せっかく金沢に来てたので、わずかな空き時間を使ってお気に入りの『鈴木大拙館』に立ち寄った。

金沢出身の世界的仏教哲学者の鈴木大拙の生誕地近くに大拙の精神を具現化した施設を2011年に金沢市が建設した。


数年前にここへ訪れるまでは大拙のことをまったく知らなかった。大拙は、『善の研究』で有名な西田幾太郎と旧制四校で同期だったが、幾太郎ほど知られていないと思う。

多くの著書が英文で発表されているので、外国人の訪問者が多いが、コロナ禍なので今は訪れる人はほとんどいない。

思索の部屋から眺める水鏡の庭。
時折り、鏡のような水面に波紋が広がる。
畳敷きの部屋で寝転んでこの庭を眺めていると、仕事のこと、病気のことを忘れられる。


大拙館近くにある生誕地に立つ大拙像。


大拙のところへは、さまざまな人が相談にやってきたそうで、大拙は双方の意見を十分聞いた上で、『それはそれとして』と言って話し出すことが多かったそうだ。
お互いの分別をきちんと踏まえた上で、『それはそれとして』と次元をかえて、前に向かって進むことを促したそうである。


何かに悩んだとき、人間関係に困ったとき、『それはそれとして』とつぶやいてみると、きっと心が軽くなるはず。