麻酔をかけられたまま1つ上のフロアのICUに入れられ、そこで目を覚ました。

第一声は『何時ですか?』だった。
ナースさんが『2時15分です。』と言われ、頭で何時間かかったかを計算してる自分がいることを、もう一人の自分が見ていて、正気に戻ったんだと安心した。

ナースさんから、『どこか痛いところはありますか?』と聞かれたから、『左の腰骨から足の付け根が痛い。』と答えた。
手術のときに、ずっと左を下にしてたからしょうがないが、何も処置をしてくれなかった。

ICU担当のナースさんから挨拶があったあと、オペ着を脱がされ、真っ裸にされ、消毒液で汚れた身体を蒸しタオルできれいに拭いてもらった。
その後は、T字帯をつけてもらって、入室着に着替えた。
自分では何もできないのでされるがまま。

そこへ麻酔科医がやってきて、『術中にカリウムが6.7まで上がったのでGIをした。』とナースさん達に言ってるのが聞こえた。

GIについては、別の機会に。

5分ぐらいすると、女房と母が入室してきた。
『摘出した腎臓を見た?』って聞くと『腎臓の周りの内臓脂肪が凄くて、ハンドボールくらいの大きさだったよ。』だって。

いきなり母の携帯が鳴って、ナースさんからきつく注意されてた。後で分かったが、妹からだった。

ここのICUは、1回の入室時間は10分だけど、24時間いつでも入室できるらしい。
全室個室だからできるのかもしれない。

全身コードだらけだった。
胸には心電図のコード、右の脇腹からはドレーンチューブ、背中には硬膜外麻酔のチューブ、左手の指にはサチュレーション用の器具(指に挟むものではなく、赤色のランプをテープで止めたもの)、右腕には例の血圧モニターと点滴ライン、両方のふくらはぎにはエアーマッサージ器。
ベッドサイドには、ティッシュペーパーの箱とナースコール。

足は動かしてもいいが、他は動かさないように言われたので、寝返りをうつときはナースコールでお願いした。

あとは、やたらと痰が出たので、普通にティッシュで処理してたら、口のまわりが荒れてしまった。
次回の手術のときには、鼻セレブなどの高級ティッシュを持ち込もう。

3時ごろに執刀医のN先生がやってきて、いきなり『内臓脂肪が多くて、結構大変でしたよ。手術時間は、4時間9分でした。一晩はここでゆっくりしてください。』と言われた。

うりさんからのコメントにもあったが、このICUで過ごした時間(ほぼ24時間)が一番辛かった。
意識はしっかりしてるのに、身体を動かすことができず、とにかく時間の過ぎるのが遅く感じた。

あれだけ装置の電子化が進んでるのに、体温測定だけは毎回体温計で、測るたびにヒヤッとした感触に起こされた。なんとかならないものか。