ひとくちに標準化透析量(Kt/V)と言っても、実はいろいろな式がある。

Gotch、Jindal、Daugirdas、Shinzato(新里)などが有名かな。

これらの式はまだ勉強中なので、今回は透析前後の尿素窒素(BUN)の数値を使って簡便的に計算してみる。

透析前後のBUNの値をそれぞれBUN前、BUNとする。

BUNの除去率をRとすれば、
R=(BUN-BUN)/BUN   ・・・(1)
と書くことができる。

除水の影響を無視すれば、透析前後のBUNの値について、下記の関係が成り立つことが分かっている。

BUN=BUNe(-Kt/V)

これを変形(両辺をBUNで割る)すると、

(BUN/BUN)=e(-Kt/V)   

(指数関数なので)両辺の自然対数ln(=loge)をとると、

ln(BUN/BUN)=ln e(-Kt/V)=loge e(-Kt/V)=(-Kt/V)loge e=-Kt/V  

したがって、

Kt/V=-ln(BUN/BUN
   ・・・(2)

と書くことができ、実はこれがGotchの式となる。
実際には、微分方程式を解くとこの式が導かれる。
逆に言えば、(1)式は(2)式から導かれたものになる。

ここで(1)の式を変形すると、

R=(BUN-BUN)/BUN=1-(BUN/BUN

つまり、

(BUN/BUN)=1-R   ・・・(3)

(2)式に(3)の式を代入すると、

Kt/V=-ln(1-R)


結局、Kt/VはBUNの除去率(R)が分かれば求めることができる。

ただし、前提条件が透析中の除水や尿素窒素の産生(透析中も尿素窒素が発生すること)を考慮していないので、Kt/Vを過小評価することになる。

関数電卓があれば、ベッドサイドで簡単に求めることができるが、今では精度のよいKt/Vがサイトやエクセルなどで簡単に求めることができるので、ほとんど使われていないかな。