
先日ゲットしたDVDは、すでに二回み直しました

劇場で一回、レンタルで二回観たのと合わせて、合計五回観賞したことになりますが、実在のディランの言動を巧妙に引用している場面が多く、毎回新しい発見があり、とても面白い映画です

しかし、六人の役者が七人のパラレル・ディラン(パラレルワールドのボブ・ディランの意。実は劇中では誰ひとりとしてディランを名乗っていない)を演じ分けるという構成のため、ディランのことをあまり知らない人が観たら、まったくもって難解な映画だろう(笑) 
このウッディ・ガスリーという名の黒人少年は、1950年代後半からホーボーのようにアメリカ各地を転々と渡り歩き、1960年代前半にニューヨークに流れ着く頃までのディランを投影したキャラクターである。
ディランなのに、なぜ黒人の子供?
ブルースへの傾倒の顕れでしょうか?
あのリッチー・へヴンズと『トゥームストーン・ブルース』を歌う場面あり。
このシーンけっこう好き♪歌上手い!!
しかし黒人の子供がディランに似ているわけがないのに、喋りかたや立ち居振る舞いが若い頃のディランそっくりで、だんだん本人に見えてくるから不思議だ…。
あえてウッディ・ガスリーと名乗らせるところがまたニクい(笑)

リチャード・ギアはカントリー期のディランを投影しているらしいが、残念ながらリチャード・ギアはリチャード・ギアにしか見えない(笑)
そして、ディランの世界観に存在する『神話世界のアメリカ』を舞台に、このリチャード・ディランと、先ほどの黒人少年ディランがすれ違ったりする…。

ますます難解ですが、このシーンなどはディランの多面性を象徴している場面でもある…。

ケイト・ブランシェットが演じたエレクトリック期のディランは、あえて女性が演じることでエレクトリック期の中性的な妖力を表現するという荒技!!
それにしても見事なシンクロ率だ…。

こんな、すごく面白いのに日本では絶対ヒットしない映画(笑)撮ったのは誰だ?と思ったら、監督はあの『ベルベット・ゴールドマイン』(そういえば『ベルベット・ゴールドマイン』もシネマテークで観たなあ…)のトッド・ヘインズ!!
トッド・ヘインズといえば、カレン・カーペンターの悲劇的な人生をバービー人形を使った人形劇で描いた(『幻の傑作』と呼ばれながら著作権の関係でいまだ非公開)という奇才…。
この逸話からも難解なイメージは付きまとうが、一方では音楽映画には定評のあるトッド・ヘインズ…。

結論としては、この『アイム・ノット・ゼア』は、ディランのことを知れば知るほど面白くなる映画ですが、ディランを知らなかったり、ディランに興味がない人は観ないほうがいい映画だと思います(笑)ただし、わかってくるとメチャクチャ面白いですよ
