また大げさなタイトルつけてますが、いつも通りの独り言です。
さて、先日5月6日、ukkaファンクラブで先行公開されていた桜エビ~ずからukkaに変わって初めての曲『恋、いちばんめ』が配信開始、YouTubeではMVが公開されたわけなんですが、聴きましたか? 観ましたか?
まだという方は今すぐ聴いてください。観てください。珠玉の五分弱を味わえます。
というわけで、今回はこの『恋、いちばんめ』の歌詞を題材に、少女の恋の心理について語っていきたいと思います。
歌詞はいわゆる歌詞サイトにはまだ載ってないようなので、MVの字幕をオンにすれば出てきますので、そちらで見ていただければ。サブスクの歌詞表示機能でも出てくると思います。
(もう歌詞サイトhttps://www.uta-net.com/song/285328/で見られるようです。5/20追記)
今作の詞は MICO/ヤマモトショウ とクレジットされています。
ヤマモトショウさんは桜エビ~ず時代から何曲か詩を提供しているので、ファンにはおなじみですね。
私も過去のブログ『ヤマモトショウは桜エビの夢を見るか?』でヤマモトショウさんが桜エビ~ずに提供した詩について少し書いているのでお時間があればぜひ読んでみてください。嬉しいことにヤマモトショウさんご本人にも読んでいただけました。
ヤマモトショウ@yamamoto_sho
こういうの好きです。 https://t.co/tq9SNzubBY
2019年11月18日 12:59
それはさておき、今回はそのヤマモトショウさん個人の作詞ではなく、MICOさんとの共作となっています。
お二人は『ふぇのたす』というグループで活動されていたということですが、今回はその辺のことについては触れません。が、今作はヤマモトさんひとりではなく、MICOさんとの共作ということなので、女性の感性というか、ものの見方が欲しかったんでしょうか?
ともかく、まずは音楽ナタリーのこちらの記事に、この曲に対するお二人のコメントがあるので、出来ればそちらからご覧いただきたいのですが、MICOさんのコメントの中にこういう言葉があります。
“季節でいうと、春のような、これから芽吹いていく、ちょっとしたことで壊れそうなラブソングを。
共作することで、ショウさんの描く、太陽のように天真爛漫でかわいらしい乙女心に、女の子が隠し持っている、ゾッとする月のような、翳りみたいなものをほんの少しだけ落とせたんじゃないかなと思っています。”
それからMICOさんのツイッターの言葉
MICO(SHE IS SUMMER)@mico_sis
ukkaちゃん新曲、個人的にはショウさんの1サビのアンサー的に書いた2サビの歌詞がお気に入りです💎 恋する乙女の心は繊細で、ちょっとしたことで壊れそうで、そういうの大人になると、うまく扱えるようになって、綺麗にならしちゃうんだけ… https://t.co/tVe0s0SUHU
2020年05月06日 13:24
まさにこれらの言葉がこの曲の大きな魅力を表していると思います。ただかわいいだけの曲ではないのです。ま、MV観ると、かわいいなあ!の言葉しか出てこないんですけどね!
以上のことを踏まえたうえでここからが本題。
この曲の詞の“女の子が隠し持っている、ゾッとする月のような、翳り”や“乙女の心は繊細で、ちょっとしたことでこ壊れそう”な部分について語っていきたいのですが、もうね、曲の最初っからその翳り、危うさ全開です。冒頭の歌詞は
“恋愛相談うけたら
恋してることに気づいた
わかってていってくれたの?(違うの?)
どっちが悩んでいるのかな”
となっています。
説明するのも野暮ですが、このシーンをちょっと脚本風に描いてみましょうか。
※登場人物は架空の人物であり、実在の人物とは一切関係ありません。
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戯曲 「恋、いちばんめ」
放課後の教室
桜井「ねえねえ、ちょっと話あるんだけど」
川瀬「なによ、あらたまって。ひょっとして恋の相談とか?」
桜井「…」
と少し照れ臭そうに微笑みながら川瀬を見る。
川瀬「まじで!? ちょっと全然気づかなかったんだけど! で相手は誰なのよ?」
桜井「うんとね、ヤマモトくんなの」
川瀬「まじかー! ヤマモトくんかー!」
桜井「ちょっと、声大きい。でね、どうしようかと思って」
ふたりの会話が続く中、川瀬のモノローグ入る。
川瀬(あれ? 何? この心の中の変な気持ち。…ひょっとしてわたしもヤマモトくんのことが好きだったの? ひょっとしたら桜井はわたしがヤマモトくんが好きなのに気づいてて、そのことをわたしに気づかせるためにこんな話をしたの? 恋愛相談してるのは桜井じゃなくてわたし?)
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とまあこんな感じでしょうか。
もう冒頭から友人と同じ人を好きになった、というちょっと危うい状況です。
川瀬は(便宜上、この曲の主人公は川瀬ということで話を続けます)みっぴが、あ、間違えた、桜井がヤマモトくんを好きだと聞いてから自分の気持ちに気づいたと思ってるわけですが、ちょっと待ってください。果たしてそうなのでしょうか?本当に前からヤマモトくんのことを好きだったのでしょうか?
このシーンの川瀬の心理を整理してもう少し考えてみましょう。
1.桜井からヤマモトが好きだと告げられる
↓
2.自分の中の変な感情に気づく
↓
3.自分もヤマモトを好きだったことに気づく
↓
4.桜井はそのことに気づいていて、それを自分に教えるためにこんな相談をしをしてきたの?(違うの?)
↓
5.もしかして悩んでたのはわたしの方だった?
この 2.から 3.の間で悟った感情ですが、もちろん実際に以前から好きだったのに気づいてなかったかもしれないのですが、そうではなく、桜井からヤマモトが好きだと言われた瞬間にヤマモトのことが気になり、さらにその気持ちを実は『前から好きだった』と錯覚した可能性が大いにあるのではないでしょうか。友人が好きな人を自分も気になってしまう、という感情は男女関係なく思春期によくある出来事です。
川瀬の中で、そういった心理、論理の飛躍、言うなれば『乙女の恋のロジックジャンプ』(←結構気に入ってるコピー)が発生した可能性は否定できないと思うのです。
さらに続いて、 4.で『乙女の恋のロジックジャンプ~part2~』が発生しています。
4.の(桜井はそのことに気づいていて…)ですけど、これ桜井が真剣に相談に来ていて、この時の川瀬の心の内を知ったら「ちょっとまって、おかしいでしょ、どうしてそうなんの?」ですよ(笑)
川瀬の中で、自分に都合のいい『乙女の恋のロジックジャンプ~part2~』が発生しているわけです。何の裏付けもないまま、何の悪意もなく、そう思っているんですね。なぜなら、みっぴ、間違えた、桜井はそういうことに気づいてくれる、いいコだから。
まあさすがに、(違うの?)と思ってはいますが。
その他の歌詞にも「女の子が隠し持っている、ゾッとする月のような、翳り」という部分はいくつも出てきて、例えば
“友達だっていっても、
季節はきれいだ、
もうちょっとなんか見たいな”
という部分ですけど、これを川瀬のモノローグ風に描けば
「友達が好きな人だっていってもさ、
季節はきれいな春だし、
わたしももうちょっと別の景色を見てみたいな」
てな感じになりますかね。さらに
“いつかはなんていっても、
伝えたもの勝ち そういうもんだから”
なんて友達を出し抜く気満々じゃないですか。女の子怖いわー(笑)
そんでもって歌詞の所々に出てくる『はないちもんめ』。ご存じの通り、花いちもんめは相手から人を奪う遊びです。
MICOさんのコメントにあった「ちょっとしたことで壊れそう」というのも、壊れるのは何なんでしょう? 壊れるのは恋? 友情?
さて、最後にここでもう一度この曲のタイトルを思い出してみましょう。
『恋、いちばんめ』
どういう意味なのでしょうか?
いちばんめの恋?
それとも、恋が(何よりも)いちばんめ?
以上、偉そうに講釈垂れてきましたが、べつに歌詞の解釈の正解を提示しているつもりは全然ありません。むしろ、個人的には歌詞の解釈に正解はないと思っていますので。
たとえ作者が「この歌詞はこういう意味です」と言ったとして、それが自分の解釈と全然違っても、僕は「うるせえ、俺はそうは受け取らなかったんだよ!」と思ってしまう面倒くさい人間です。
それに「歌詞の意味なんてどうでもいいんだが」っていう人もいるかと思います。もちろんそんな聴き方も全然アリです。僕だって聴く曲の詩の意味を全部考えてるわけではないですからね。
なんでね、こんなこと考えるオタクもいるんだな、程度に思ってもらえれば。
というわけで今回はこの辺で。
それでは。
*******追記(2020/12/13)*******
この記事を書いてた時にも書こうかどうしようか迷ったのですが、この曲にはまだ別の解釈のしかたがあります。
冒頭の歌詞
“恋愛相談うけたら
恋してることに気づいた
わかってていってくれたの?(違うの?)
どっちが悩んでいるのかな”
この部分ですが、上の記事では同じ男の子を好きになったという解釈で話を進めていったのですが、そうではなく、
恋愛相談してきたその友人のことを好きだと気づいた
という解釈もできます。
その後の歌詞も、そう解釈してもそれほど問題ない様に思えるので、どちらが正解とはなかなか言えないような気もします。
しかも歌詞を書いたヤマモトショウさんはフィロソフィーのダンスへ何曲か、そのような女の子同士の恋愛を描いた歌詞を提供しているのです。(『シスター』がそういう歌詞として有名ですが他にも何曲かあるそうです)
まあでも、僕としては同じ男の子を好きになったという展開の方が面白いと思ってはいますが。


