数日後、アルバイトの曜日が指定された。希望通りの日にちであった。




その土曜日の朝、僕は集合場所をネットで調べ、時間通りに無事、目的の場所に辿り着いた。




この日の参加者は全部で20人だった。




担当の人がにこやかに今日のこのテストの趣旨を説明してくれた。




僕らはこれからいくつかのアンケートに答えたあと、なんと専用飛行機で実験会場まで移動するとのことだった。何だか久しぶりにウキウキしてきた。




担当者がここで説明を付け加えた。小窓は開けないということ。また、機内における会話は禁止で、一緒に搭乗しているスタッフに話しかけるときは専用のボタンを押し、わざわざ別室までいって話さなければならないらしい。




アンケートを済ませ、僕らはその専用飛行機が用意されている場所へ案内された。




僕らが早速、機内に乗り込むと客室乗務員らしきスタッフが出迎えてくれた。




担当の人の話によると、目的の場所までは1時間ほどらしい。


今日の集合時間が少し早かったのはこのためだったのかと僕は納得した。




目的の場所はこの企業グループが所有しているという孤島らしい。その小さな島に会社の様々な設備があって、そこの一箇所にあるスペースで心理テストをすることになっていると聞かされた。




機体が鈍い金属音を出し、ゆっくりと動き出した。




“いよいよ、出発だ”




機内はこぎれいにデザインされていた。シンプルであるがどこかブティックのような雰囲気を醸し出していた。




僕は最近購入した、東京を無料で楽しもうというコンセプトの本を鞄から取り出した。座禅を体験できるお寺やら、目黒にある寄生虫の博物館というのもある。僕が今度、訪れようと思っているのは赤坂にあるカナダ大使館だ。ここの大使館は他の大使館とは違って一般にも公開されている施設がいくつもあるらしい。